南太平洋の無人島にゴミ3800万個、日本からも

世界遺産のヘンダーソン島、世界各地のプラスチックゴミが漂着

2017.05.19
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【動画】絶海の孤島を覆う3800万個のプラスチックゴミ。(解説は英語です)

 ヘンダーソン島は、ニュージーランドとチリの間にある南太平洋の無人島だ。地球上のあらゆる場所からも人からも遠く離れた孤島である。

 そのヘンダーソン島の白い砂浜にあふれるのは、ロシア、米国、ヨーロッパ、南米、日本、中国から流れ着いたゴミの数々。ほとんどがプラスチックだ。こういったゴミは、世界の海を漂って南太平洋旋廻と呼ばれる海流に乗る。そして、まるでベルトコンベアーに乗せられたかのように運ばれ、1日3500個というペースでヘンダーソン島に打ち上げられる。(参考記事:「海ゴミの出所を特定、1位は中国」

 こういったゴミは累計3800万個にのぼるという。今回、ゴミに関する論文を共同で執筆したジェニファー・ラバーズ氏は、AP通信の取材に対して「実に憂慮すべき」量だと話している。

 ゴミの大半は、漁に使う網や浮き、ビン、ヘルメットなどだ。その3分の2は砂浜に10センチほど埋もれており、最初は見えなかった。(参考記事:「不明機捜索で明らかとなった海洋ゴミ」

「憂慮すべきとはいうものの、これは実際のゴミの量を過小評価した表現にすぎない。というのも、10センチほど地中に埋もれたゴミ、2ミリ以下の微細なゴミ、絶壁や岩場のゴミなどは調査できないからだ」。ラバーズ氏のグループは、5月16日に科学誌「米国科学アカデミー紀要」に掲載された論文にそう記している。

 ヘンダーソン島は国連の世界遺産であり、世界有数の広さを誇る海洋保護区に含まれている。ユネスコのウェブサイトでは、ヘンダーソン島という「宝石」は、「実質的に人の手が触れていない世界屈指の現存するサンゴ環礁」であると紹介されている。そういったことを考慮すれば、蓄積するゴミは一層憂慮すべき問題といえる。(参考記事:「海はゴミ箱?」

 ヘンダーソン島は、英国の海外領土であるピトケアン諸島を構成する小さな4つの島の一つだ。ピトケアン島は、映画の題材にもなった18世紀末の事件「バウンティ号の反乱」にかかわった者たちの子孫が暮らす島として知られている。現在、人口は42人にまで減少しているが、島民たちはヘンダーソン島を日々の生活から離れてのどかに暮らすための逃避先として使っている。しかし、近隣のピトケアン島の人々、科学者、そして時おり仏領ガンビエ諸島から2日かけて船でやってくる観光客を除けば、ヘンダーソン島には4種類の陸鳥、10種類の植物、それに大規模な海鳥の営巣地があるだけだ。(参考記事:「【動画】鼻にストローが刺さったウミガメを救助」

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