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【第27回】帯状疱疹関連痛の謎に迫る
帯状疱疹、軽い皮膚=神経痛も軽度、○か×か?

2017/08/08

 前回(「毎日が帯状疱疹!?チョロい疾患と侮るなかれ」)に続いて、今回も帯状疱疹について。何とか帯状疱疹らしいと診断したら、つぎは治療だ。

 まず、抗ウイルス薬の投与となる。バラシクロビル(商品名バルトレックス他)、ファムシクロビル(ファムビル)の2種に加え、もう少ししたら 「飴舐めビール」 じゃなかったアメナメビル(アメナリーフ)が発売になるらしい。

 この新薬。腎機能、すなわちクレアチニンクリアランスのことあまり考えなくてよいらしい。おまけに服用は1日1回。なんと便利なお薬でしょう(「患者急増! 帯状疱疹攻略の3つのポイント」、「投与量調節の必要がない帯状疱疹治療薬」)。

 バラシクロビルやファムシクロビルの高齢者への投与は厳重注意である。腎機能障害患者への投与と同様に高齢者もクレアチニンクリアランスを考慮しないと大変なことになる。実際の外来では通常量の半分、ないしは3分の1程度の総投与量で、投与回数も1日に1~2回程度にするとよい。減量しないで投与した場合、水分摂取が不十分などの理由で尿細管にトラブルが生じ、急性腎不全で気絶して救急外来に担ぎ込まれることがよくあるらしい(そんな心配も遠い昔になる日が来るとは、感慨深い)。

 とはいえ、アメナメビルが登場したとしても、帯状疱疹の治療は抗ウイルス薬だけでは終わらない。

 問題は、神経痛である。昔は帯状疱疹後神経痛という言葉が有名だった。しかし、臨床現場では、皮疹とともに激しい疼痛を訴える患者が多く、「後」の神経痛という概念がだいぶ怪しいと考えられるようになった。今では帯状疱疹にからむ痛みを全てひっくるめて、帯状疱疹関連痛と呼ぶことになっている。もちろん「後」の痛みが強く、後神経痛と診断できる患者も多いので、誤解のないように。

 この神経痛は実に不思議なのだ。外来をやってみると分かる。読者にも体験してもらおう。

 例えば、次の症例のうち、神経痛が「強そうなもの」はどれだろうか? 神経痛が強いと思われる順に番号を付けてみてほしい。

連載の紹介

【臨床講座】ドキュメント皮膚科外来
患者はヒタイに病名を書いて来院するわけではない。検査結果を待ってじっくり診断する余裕もない。立ち合い勝負の無慈悲な診療科—それが皮膚科である。教科書に載っていない、皮膚科診療における思考過程を再現してみよう。
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