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【新薬】中枢神経刺激薬 塩酸メチルフェニデート
コンサータ:日本初のAD/HD治療薬

2007/11/15
北村 正樹=慈恵医大病院薬剤部

 2007年10月26日、中枢神経刺激薬の塩酸メチルフェニデート(商品名:コンサータ錠18mg、同27mg)が製造承認を取得した。適応は「小児期における注意欠陥/多動性障害AD/HD)」であり、AD/HDに適応を持つ日本初の薬剤である。

 AD/HDは、小児期からの多動、集中困難、衝動性を有する精神疾患で、その原因は不明だが、中枢の何らかの器質的障害が関与しているものと考えられている。治療では、衝動性や多動などの症状改善を目的としてハロペリドール(商品名:セレネースほか)やカルバマゼピン(商品名:テグレトールほか)が使用されるほか、注意集中の改善や多動、衝動性の改善を目的として、うつやナルコレプシーの治療薬として使われていたリタリン(コンサータと同じメチルフェニデート製剤)が適応外使用されていた。しかし、いずれもAD/HDには適応がないため、専門家からは一刻も早いコンサータの承認が熱望されていた。

 メチルフェニデートのAD/HDに対する作用機序は、まだ十分には解明されていないが、ドパミンおよびノルエピネフリントランスポーターに結合し、再取り込みを抑制することで、シナプス間隙に存在するドパミンおよびノルエピネフリンを増加させ、神経系の機能を亢進するのではないかと推測されている。海外では2000年8月に米国で承認されて以降、今日までに世界66カ国で使用されている。米国では、小児のAD/HDの薬物治療に関するガイドラインで標準治療薬として位置付けられている。

 コンサータは、1日1回、朝に服用することで効果が12時間持続するように設計された長時間作用型の徐放製剤である。速効性製剤であるリタリンとは異なり、浸透圧を利用した製剤技術により血中濃度上昇の変動を最小限に抑える工夫が施されている。

 コンサータの主な副作用は、食欲不振、初期不眠症、体重減少、食欲減退、頭痛、不眠症、腹痛、悪心、チック、発熱などである。なお今般、メチルフェニデート製剤の乱用や薬物依存が大きな社会問題となっていることから、コンサータには、承認時の条件として厳しい流通管理が義務づけられており、本薬を扱える医師や薬剤師は大きく制限される見込みである。

※コンサータの承認と時をほぼ同じくして、リタリンの効能効果から「うつ」の適応が削除され、適応が「ナルコレプシー」のみとなった。

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