鶏卵生産者経営安定対策事業は49億円 平成31年度農水省予算案

食鳥・鶏卵の流通合理化も支援

政府は12月21日、平成30年度第2次補正予算案と31年度予算案を閣議決定した。農林水産省の31年度予算案のうち「鶏卵生産者経営安定対策事業」は30年度と同額の48億6200万円で、鶏卵価格差補てん事業と成鶏更新・空舎延長事業の仕組みは変わらない。飼料対策や衛生対策なども前年度並みの予算となっている。

農林水産省の平成31年度予算案は公共事業と非公共事業を合わせると30年度に比べ1294億円増の2兆4315億円。30年度の第2次補正予算案は5027億円。31年度の主な養鶏関係の予算案は次の通り。

「鶏卵生産者経営安定対策事業」は48億6200万円(30年度と同額)。民間団体に委託し、採卵養鶏経営の安定を支援するもの。事業は『鶏卵価格差補てん事業』と『成鶏更新・空舎延長事業』の2本立て。31年度は新3か年契約の3年目。『鶏卵価格差補てん事業』への参加に〝とも補償〟となる『成鶏更新・空舎延長事業』の〝協力金〟の拠出が義務付けられるのは従来通り。

『鶏卵価格差補てん事業』は、月間平均の標準取引価格が補てん基準価格を下回った場合、差額の9割を補てんする。補てん金は生産者の積立金から4分の3、国の補助金から4分の1の割合で支払われる。

『成鶏更新・空舎延長事業』は、日ごとの標準取引価格が安定基準価格を下回った日の30日前から、安定基準価格を上回る日の前日(同日までに食鳥処理場に予約した場合はその30日後)までに、更新のために成鶏を出荷し、その後60日以上の空舎期間を設けると奨励金を交付する。奨励金の交付割合は、生産者の協力金から4分の1、国の補助金から4分の3。ただし、標準取引価格が安定基準価格を下回る期間は、飼養規模が10万羽以上の生産者には価格差補てん金を交付しない。奨励金の単価は1羽当たり210円以内だが、小規模生産者に配慮し、10万羽未満層は同270円以内で交付する。また、出荷された成鶏の処理に協力した食鳥処理場にも1羽23円以内の奨励金を交付する。

「食肉等(食肉、食鳥、鶏卵)の流通合理化に向けた施設整備への支援」は、食肉、食鳥、鶏卵のの流通・処理システムの効率化によるコスト低減や、製品の高付加価値化等に必要な流通処理施設の整備などを支援するもの。補助率は3分の1以内と、衛生処理施設やハラール対応施設、動物福祉対応施設は2分の1以内など。上限額は20億円。〝強い農業・担い手づくり総合支援交付金〟230億2400万円の内数。

「地鶏等生産振興推進事業」は、〝持続的生産強化対策事業200億7900万円〟の内数。素材鶏および地鶏の共同評価を行なう取り組みへの支援(肉質面で特徴ある地鶏生産の検討を進めるため、民間団体などが実施する組み合わせ検定の客観的な評価に必要となる素材鶏などの導入、能力調査、肉質評価、検討会の開催などの支援)など。

〝持続的生産強化対策事業〟の中で、民間団体に委託して実施する「畜産GAP拡大推進加速化事業」は1億8300万円(30年度1億9100万円)。わが国の畜産の競争力強化を図る観点から、日本版畜産GAPの普及・推進体制の強化を図るための指導員などの育成、GAP認証取得、GAP認証取得の準備段階の取り組みとなる〝GAP取得チャレンジシステム〟の普及などの取り組みを支援する。

「水田活用の直接支払交付金」は3215億円(30年度3059億円)。水田を利用した飼料用米、麦、大豆などの戦略作物の本作化とともに、産地交付金による地域の魅力的な産品の創造を支援する。飼料用米の作物助成交付金単価は収量に応じ10アール当たり5万5000円~10万5000円。水田フル活用ビジョンに基づき、地域の裁量で産地づくりに向けた取り組みを支援する産地交付金の飼料用米の多収品種作付けへの配分単価は10アール当たり1万2000円。

「米活用畜産物等ブランド化推進事業」は2900万円(30年度3500万円)。飼料用米を活用した畜産物ブランド展開や全国展開への取り組みなどを支援する。

「飼料穀物備蓄対策事業」は17億5000万円(30年度と同額)。飼料穀物の備蓄をはじめ、国内の災害等による配合飼料の緊急輸送などへの支援。備蓄穀物はトウモロコシ、こうりゃん、大麦、小麦、大豆油かす、ふすまの中から民間が選択。

平成30年度の第2次補正予算案

「畜産・酪農収益力強化等特別対策事業(畜産クラスター事業)」は560億200万円。畜産クラスター計画を策定した地域に対し、地域の収益性向上等に必要な機械導入や施設整備、施設整備と一体的な家畜導入等を支援する。

「畜産経営体質強化資金対策事業」は融資枠107億2800万円。

「外食産業等と連携した畜産物の需要拡大対策事業」は2400万円。

「グローバル産地づくり緊急対策」は9億6000万円。GFP(農林水産物・食品輸出プロジェクト)登録者に対する輸出診断やネットワーキングイベントの開催などの支援活動をさらに強化するとともに、食品衛生規制や残留農薬規制への対応など、グローバル産地ごとの課題解決を支援する。

「海外の需要拡大・商流構築に向けた取り組みの強化」は56億6900万円。TPP・EUなどの国・地域におけるJFOODO(日本食品海外プロモーションセンター)におけるプロモーション、JETROによる海外見本市への出展支援などや、早期の成果が見込める分野・テーマ別の販売促進活動の強化などを支援する。

「農畜産物輸出拡大施設整備事業」は60億円。国産農畜産物の輸出の拡大に必要な集出荷貯蔵施設や加工処理施設などの産地基幹施設やコールドチェーン対応卸売施設などの整備を支援する。