豪首相が就任後初の北アジア歴訪へ、最優先事項は対日EPA

豪首相が就任後初の北アジア歴訪へ、最優先事項は対日EPA
4月2日、アボット豪首相は、5日に日本と韓国、中国をめぐる就任後初めての北アジア歴訪を開始する。1月撮影(2014年 ロイター/Ruben Sprich)
[シドニー 2日 ロイター] -アボット豪首相は5日、日本と韓国、中国をめぐる就任後初めての北アジア歴訪を開始する。日本との経済連携協定(EPA)を最優先事項に据える一方、日中関係が悪化する中、両国との関係に気を配る必要もありそうだ。
オーストラリアにとって、中国、日本、韓国は輸出市場の上位3カ国となっている。韓国とは昨年、自由貿易協定(FTA)締結で最終合意に至っており、今回の北アジア歴訪でアボット首相は日本とのEPA交渉をまとめ、中国とは「自由貿易に向けた大幅な前進」を得たい考えだ。
しかし、オーストラリア国立大学のヒュー・ホワイト教授は、アボット首相が中国と韓国で「大変な親日家」とみられているため、日本や近隣国とのバランスをとるために難しいかじ取りを迫られるだろうと指摘する。
同教授は「アボット首相にとって問題なのは、もしも訪韓や訪中を成功させようとすれば、日本と距離を置き、これまでとってきた大変な親日家としてのポジションからいったん身を引かなければならないことだ」と述べた。
首相は昨年9月の就任以来、しばしば日本との関係に言及し、日本を「アジアにおける最良の友」と表現しているほか、安倍晋三首相に豪議会で年内に演説するよう依頼している。最近では、オーストラリアは中国の「戦略的パートナー」だとしつつ、豪日関係について「世界史の中で最もお互いに恩恵を受けてきた二国間関係の1つ」と指摘している。
アボット首相が日中関係が冷え込む中で対応を誤れば、中国との自由貿易交渉が行き詰まる可能性もありそうだ。
<調査捕鯨判決は障害にならず>
オーストラリアは今週、南極海での日本の調査捕鯨をめぐり、条約違反だとする国際司法裁判所の判決を勝ち取ったが、日豪EPA交渉での大きな障害にはならない見通しだ。

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