サーベラス、国際興業株を創業一族へ売却へ=関係筋

[東京 17日 ロイター] -米系投資会社のサーベラスは、傘下でバスやホテル事業を展開する国際興業(東京都中央区)の株式を、同社創業一族の会社に売却する方針を固めた。売却価格は1300―1400億円になる見込みだ。複数の関係筋が17日、明らかにした。
サーベラスは、投資先の西武ホールディングスの上場でも株式売却を進める方針で、国際興業からも投資回収(エグジット)すれば、日本での大型投資案件はなくなる。
国際興業の株主構成は、サーベラスが55%、創業一族で同社社長を務める小佐野隆正氏が実質的に支配する持ち株会社「国際興業ホールディングス」が45%となっている。サーベラスは持ち分を小佐野氏に売却することで、大筋合意に達した。月内に正式に決める見通しだ。
国際興業は昨年、グループの八重洲富士屋ホテル(東京都中央区)を約300億円で住友不動産に売却したほか、昨年末には浜松町に持つ土地を日本生命保険や大林組に約800億円で売却し、現金資産が拡大している。このため、売却価格が大きく膨らんだとみられる。
国際興業は、実業家の故・小佐野賢治氏が築いたバス事業やホテルなどの観光事業を幅広く営むコングロマリットだったが、2000年代前半に3000億円超の負債が重荷になり、経営危機に陥った。2004年に主力取引銀行だった旧UFJ銀行(現三菱東京UFJ銀行)やりそな銀行などから債権を大幅ディスカウントで買い取ったサーベラスがスポンサーになり、優良資産を次々と売却、再建を進めてきた。
今回、創業一族の持ち株会社が100%を保有することで「大政奉還」を果たすことになるが、東北に展開していたバス事業やリゾート事業も売却されており、グループの事業規模は大幅に縮小している。
サーベラスの残る投資先は、昭和地所など小規模な案件だけで、これらも投資回収に向けて動いているという。西武HDの上場で株式の売り出しを実施すれば、さらに日本でのエクスポージャーは小さくなるため、業界では「日本からの撤退モードに入っているのではないか」(投資銀行関係者)との指摘も出る。サーベラスが今後、新たな投資を行い事業を再拡大させるのか、このまま撤退するのかに注目が集まりそうだ。
(布施太郎 浦中大我)
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