日本成長率のIMF予想、先進国で最大の下方修正

日本成長率のIMF予想、先進国で最大の下方修正
 10月7日、IMFは世界経済見通しで、今年の日本の経済成長率予想を0.9%として引き下げた。写真は安倍晋三首相。首相官邸で9月撮影(2014年 ロイター/Yuya Shino)
[東京 7日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)は7日発表した最新の世界経済見通しで、今年の日本の経済成長率予想を0.9%とし、7月時点から0.7ポイント引き下げた。先進国の中で最も大きな下方修正となった。
2015年の成長率予想についても0.2ポイント引き下げ、0.8%とした。
IMFはまた、日銀の政策に関し、物価上昇ペースが鈍る、あるいは経済成長率が予想を下振れた場合は一段の緩和が必要との見解を示した。ただ、構造改革や長期的な潜在成長力押し上げに向けた取り組みを同時に実施する必要があるとした。
一方、2015年10月に予定される10%への消費税率引き上げについては、予定通り実施するべきとの見解を示した。
IMFは「非常に高水準な公的債務を踏まえると、財政規律を確保するために消費再増税の実施は極めて重要だ。ただ、消費再増税は内需に打撃を与える可能性が高く、景気への信頼感と投資の回復が必要となる」と指摘した。
IMFはまた、今年4月の消費増税を背景とする第2・四半期国内総生産(GDP)の大幅減について、短期的となる見込みで、その後は緩やかに回復するとした。
アベノミクスの「3本の矢」に関しIMFは、潜在成長力押し上げとデフレからの完全な脱却には、第3の矢である成長戦略として「より強力な構造改革」が必要とされていると強調。労働力の供給を増やすための措置や農業およびサービス部門の規制緩和を求めた。
そのうえで、経済成長率押し上げへの取り組みは、高水準な公的債務がもたらす問題や大胆な財政再建の必要性という観点からも極めて重要だとした。同時に、2015年以降の中期的な財政再建の具体策が至急必要だと指摘した。
IMFはまた、日銀について、2%の物価安定目標が達成可能かどうか判断する際に利用する指標を明確にするなど、コミュニケーションの改善に一段と取り組むよう求めた。「こういった取り組みは、資産買い入れプログラムの調整や将来的な出口戦略の準備が必要となった場合に市場の期待を適切に導くのに役立つことになる」とした。

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