新型iPhone発売でドコモ巻き返し、迎え撃つKDDIとソフトバンク

新型iPhone発売でドコモ巻き返し、迎え撃つKDDIとソフトバンク
9月20日、米アップルがiPhone(アイフォーン)「5s」と「5c」を発売し、日本の主要携帯3社も一斉に新モデルの販売を開始。写真は都内のアップルストアで撮影(2013年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 20日 ロイター] - 米アップルがiPhone(アイフォーン)「5s」と「5c」を発売した20日、日本の主要携帯3社も一斉に新モデルの販売を開始した。注目は、今回初めてアイフォーンを取り扱うNTTドコモ<9437.T>。顧客流出が続いた同社だが、アイフォーン導入を機に巻き返しを図りたい考え。
KDDI<9433.T>とソフトバンク<9984.T>は、ネットワークの優位性などを訴えて迎え撃つ。
東京・丸の内にあるドコモの旗艦店には、午前8時の開店前から300人ほどが列を作った。店舗に駆けつけたドコモの加藤薫社長は、「本当にお待たせしたという気持ちでいっぱい」とあいさつ。「文字通り幕が切っておろされた」と語った。
列の先頭にいた東京都の会社員、佐藤英典さん(39)は、18日夕方から並び、開店とともに5sのゴールド色を購入。加藤社長から端末を手渡された。10年近くドコモを使い続けてきた佐藤さんは「やっとこのときが来た。感無量」と話した。
日本で2008年にアイフォーンが登場して以来、携帯大手3社の中で同端末を唯一扱っていなかったドコモは、他社へ顧客が流れた。通信会社を変更しても同じ電話番号が使える「番号継続制度(MNP)」で契約者の流出が止まらず、55カ月連続で転出超過が続いている。
08年7月に51.6%だったドコモのシェアは、今年8月までに46.2%へ低下。一方、ソフトバンクは18.6%から25.2%に上昇した。KDDIは約29%のままほぼ横ばい。
ドコモの加藤社長は「他社との本当の意味での競争が始まる。端末、ネットワーク、サービスの総合力でドコモを選んでもらえたらと思っている」と語った。今年度の事業計画にアイフォーンの導入は織り込んでおらず、「(導入を)考慮したものをいま検討している」と述べ、販売の推移を見ながら修正する可能性を示唆した。
一方、アイフォーンを武器にドコモから顧客を奪ってきたKDDIとソフトバンクは、つながりやすさや、これまでの実績をアピールする。
KDDIは今回、新型アイフォーンが周波数800メガヘルツ帯に初めて対応した点を強調。800メガヘルツ帯は障害物を回り込んで電波が届くことなどが特徴で、そのつながりやすさから「プラチナバンド」と呼ばれる。KDDIは同帯域の基地局を積極的に整備してきた。
東京・原宿で開いた発売イベントに出席した田中孝司社長は、「キャリア(通信会社)の一番の価値はネットワーク」とし、「同じアイフォーンでもネットワークでこんなに違うことを体験していただきたい」と説明した。プラチナの成分が入ったペットボトル水を購入者に配るなどしてアピールした。
3社の中で最も長くアイフォーンを扱うソフトバンクは、ネットワークに加え、これまでの実績を売り込む。宮内謙副社長は、160人以上が行列した東京・銀座の旗艦店に駆けつけ、「アイフォーンのことは何でも知っている。トラフィックがどう動くかも知り尽くしている」と語った。
ソフトバンクはアイフォーンに精通したスタッフを販売現場に2万人配置。宮内副社長は「販売の経験も5年間培ってきた。厳しい競争になるが、勝ち続けていきたい」と話した。
7日正午ごろからソフトバンクの銀座店に並んだ東京の大学生・井上拳斗さん(22)は、5sのゴールド色と5cのピンク色を購入。ほぼ毎年買い替えるなどアイフォーンに入れ込んでいるが、2年契約の割賦残金が無料になるサービスを使えることから、ソフトバンクのまま新モデルに乗り換えたという。
(久保信博、白木真紀、村井令二)
*内容を追加し、見出しを変えて再送します。

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