OECD、日本の16年成長率見通しを引き下げ 財政再建再考を提唱

OECD、日本の16年成長率見通しを引き下げ 財政再建再考を提唱
 2月18日、経済協力開発機構(OECD)はに世界経済見通しを公表し、その中で日本の2016年の実質成長率を昨年11月時点の前年比1.0%から0.8%に引き下げた。名古屋で2013年7月撮影(2016年 ロイター/Toru Hanai)
[東京 18日 ロイター] - 経済協力開発機構(OECD)は18日に世界経済見通しを公表し、その中で日本の2016年の実質成長率を昨年11月時点の前年比1.0%から0.8%に引き下げた。
また、株価の急落や新興国の資本流出・債務問題など金融システムに相応の不安があるとして、世界的な「政策協調が急務」だが、「金融政策のみでは不十分で、財政・成長戦略も重要」と総括している。
日本については、17年を0.1%引き上げ0.6%とした。「対GDP比での債務残高を安定化させるため、日本は財政再建を進めているが、名目成長率が期待外れななかで、新たな戦略を必要としている」と指摘した。
また、2016年の世界経済成長率予測を3.0%に下方修正した。昨年11月時点の予測は3.3%だった。
米国、欧州、ブラジルの成長率予測を下方修正した。
2015年の世界の経済成長率は3.0%と、5年ぶりの低水準だった。
OECDは貿易・投資・賃金の伸びが依然として低過ぎると指摘。 「金融政策だけでは限界がある」とし、「需要の拡大には、共同の政策対応を強化する必要がある」と主張した。財政出動の余地がある国はインフラへの公共投資を拡大すべきだとしている。
主要国では、米国とドイツの2016年の成長率予測をともに0.5%ポイント下方修正し、それぞれ2.0%、1.3%とした。
ユーロ圏の2016年の成長率予測も1.4%に下方修正した。
中国の成長率予測は据え置いた。2016年が6.5%、2017年が6.2%に減速すると予想している。
ユーロ圏については、原油安のプラス効果が予想を下回っていると指摘。超低金利とユーロ安も、持続的な投資の拡大につながっていないとの認識を示した。
米国については、ドル高や原油安で昨年下半期に成長が減速したと指摘した。
ブラジルの2016年の成長率予測はマイナス4.0%に下方修正。
インドについては、2016年の成長率予測を0.1%ポイント上方修正し、7.4%とした。

竹本能文 編集:田巻一彦

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