G20、首脳会議でIMFへの追加拠出確認へ 新興国の発言権拡大が課題に

 [ロスカボス(メキシコ) 17日 ロイター] 18―19日にメキシコのロスカボスで開かれる20カ国・地域(G20)首脳会議(ロスカボス・サミット)では、金融危機への対応策を拡充するため、各国が国際通貨基金(IMF)に追加拠出する合意について確認するとみられる。
 世界各国は欧州債務危機の深刻化を受け、欧州独自の安全網ばかりでなく、IMFの融資能力を強化する必要があると認識。4月に行われたG20財務相・中央銀行総裁会合で、IMFの資本基盤を4300億ドル増強することで合意した。
 ただ、ロスカボス・サミットに参加するすべての国が具体的な拠出額を表明するかどうかは不透明。米国はIMFの融資能力は十分だとして、追加拠出に加わらない姿勢を示している。
 中国の朱光耀財政次官は17日、中国としてIMFへの追加拠出に参加する方針を示しながらも、具体的な拠出額を示すことは避け、「われわれはIMFが4300億ドルの資本増強目標を実現できると全面的に確信している。中国は間違いなくそれに参加する」と語った。
 G20当局者がロイターに明らかにしたところによると、中国が約600億ドル拠出するほか、ロシア、インド、ブラジルもそれぞれ100億ドル拠出する見通し。ただ、増額分の多くは欧州が拠出するとみられる。
 中国をはじめとする主要新興国は、IMFに資金を追加拠出する見返りとして、IMFにおける発言権の拡大を求めている。
 これについて、G20首脳による最終声明案作りに関わっている2人のG20当局者は、IMFの投票権改革をめぐる議論は「依然議論が紛糾している」としながらも、IMFのガバナンス改革を続けることを条件に、G20首脳が4300億ドルの融資能力増強に合意する見通しだ、と明らかにした。
 新興国は以前から世界経済における比率拡大を背景に、IMFなど国際機関での発言権拡大を求めてきたが、2010年に新興国の投票権を拡大し、IMFにおける中国の投票権を3番目に引き上げることで合意したにもかかわらず、実現が遅れるとみられることにいら立ちを募らせている。
 メキシコのカルデロン大統領は16日、追加拠出額は全体で4300億ドルを上回る可能性があるとの見方を示した。
 中国の朱光耀財政次官は、具体的な国名を名指しすることは避けながらも、「一部の国はこの問題について迅速に対応していない。しかし、コンセンサスがある限り、クオータの改革は予定通り実行すべきだ」と指摘。「それは中国や他の新興国の要求であり、現在の世界情勢による要求でもある」と語った。
 ブラジルは、2010年に合意した改革が実行されない限り、IMFへの追加拠出に応じない考えを示している。
 IMFのラガルド専務理事は17日、世界経済における新興国の台頭は、IMFのクオータに反映させる必要があると指摘。「明らかに、IMFは今日の世界経済を反映した姿にならなくてはならない。その結果、われわれのクオータ制度は新興国に大きなスペースや大きな声を与える形に変更されるべきだ。どの国も譲歩を望まないため、それは痛みを伴う再調整だが、2010年に原則合意した改革は10月までに実行されなくてはならない」と述べた。

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