ロシア中銀、主要政策金利を14%に引き下げ 景気支援優先

[モスクワ 13日 ロイター] - ロシア中央銀行は13日、主要政策金利を15.00%から14.00%に引き下げた。インフレ率はなお高止まりしているが、経済の支援を優先させた。中銀は、リスク低減の度合いを見極めながら、一段の利下げを行う用意を整えるとしている。
利下げは今年2度目。1月には2%ポイントの利下げを実施した。1月の利下げは予想外だったが、今回は経済指標が急激に悪化していること、通貨ルーブル相場が安定化の兆しを見せていることなどで、利下げはおおむね予想されていた。
ただ、利下げ幅が一部アナリストの予想よりも小さかったことから、中銀の決定を受け、通貨ルーブル は若干上昇。GMT1300(日本時間午後10時)現在、0.4%高の1ドル=60.92ルーブルで取引されている。中銀の利下げ発表前は約0.5%安で推移していた。
ナビウリナ総裁は記者会見で「いかなる代償を払ってでもインフレ率を引き下げようとすることは、近視眼的な戦略となる」と言明。インフレ率が明らかな低下トレンドを示して初めて中銀は利下げを実施するとしていたこれまでの姿勢からの転換となる。
ライファイゼン銀行のエコノミスト、マリア・ポメルニコワ氏は、「中銀はインフレリスクは後退したと見ており、景気支援が優先されるのは明らかだ」と述べた。
中銀は声明で、景気が著しく減速するリスクが引き続き存在しているとし、利下げによりインフレ高進の脅威を高めることなく、こうしたリスクを最小化できるとの認識を示した。
現在16.7%に達しているインフレ率については、一時要因によるものと指摘。こうした一時要因は年末までには解消するとの見方を示した。
今年の経済成長率はマイナス3.5─4.0%に落ち込むと予想。政府予想のマイナス3.0%よりも悲観的な見通しを示した。
また、経済活動の停滞で物価上昇は抑制されるとし、インフレ率は向こう1年間で9%前後まで低下するとの見方を示した。2017年には中銀が中期目標とする4%に低下する軌道に乗っているとしている。
ただ、インフレ期待の上昇、および財政政策の拡大や名目賃金上昇の可能性などが引き続きインフレ高進のリスクとなっているとの認識を示した。
ナビウリナ総裁によると、中銀は年末時点のインフレ率は12─14%になると予想。成長率については、2016年はマイナス1.0─1.6%となると予想しているが、2017年には力強く回復し、プラス6%を超えると見ている。

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