国立感染症研究所 感染症情報センター
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高病原性鳥インフルエンザ

被災地におけるつつが虫病について

2011年4月1日現在
国立感染症研究所 ウイルス第一部・感染症情報センター

 つつが虫病(ツツガムシ病、恙虫病)は、病原体(リケッチア)を有するダニの一種であるツツガムシの吸着により起こります。農作業、山林作業、土木作業、レジャーなどの活動の際、土の中で生活するツツガムシに刺され、その5〜14日後に発症します。生活環境が自然豊かな場合、自宅周辺で刺され感染することもあります。つつが虫病の発生は、春と秋の二つのピークがあり、今回震災により大きな被害が発生した東北地域では、春の患者発生が多く報告されています。

 平成23年3月に報告された福島県の症例<速報>は、震災の前に感染、発症しました(http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3741.html)。福島県は春と秋の二つのピークがあり、この発生報告は、震災した東北地域の春のつつが虫病シーズンが始まったことを意味し、臨床現場では注意が必要です。また、洪水などの土砂災害により、有毒ツツガムシが生息していた土が流され、これまで患者発生がなかった地域で患者が発生する可能性があります。

 つつが虫病と疑われた場合、テトラサイクリン系の抗菌薬が第一選択薬となります。つつが虫病の臨床的特徴である、発熱、発疹、刺し口といった3徴がそろわない症例もあります。従って、発症前の活動等の状況を知ることが診断に大きく役立ちます。

 感染予防には、農作業、山林作業、土木作業などの活動の際、ツツガムシが吸着しないよう肌の露出を避けた服装(長袖、長ズボン、長靴など)をし、虫除け剤を使用すること、作業後は入浴し吸着したツツガムシを洗い流すこと、着ていた服はすぐに洗濯するか屋外で天日干しすることなどを心掛けてください。


つつが虫病の詳細については、以下を参照ください■
病原微生物検出情報(IASR)2011年3月25日
<速報>震災後の東北地域を中心とした春シーズンのツツガムシ病に関する注意
http://idsc.nih.go.jp/iasr/rapid/pr3741.html
病原微生物検出情報(IASR)2010年5月号、つつが虫病・日本紅斑熱 2006〜2009
http://idsc.nih.go.jp/iasr/31/363/tpc363-j.html
病原微生物検出情報(IASR)2006年2月号、つつが虫病/日本紅斑熱 2005年12月現在
http://idsc.nih.go.jp/iasr/27/312/tpc312-j.html

(2011年4月1日 IDSC 更新)

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