「マニフェストは命懸けで実行。書いてないことはやらない」「シロアリを退治しないで増税はおかしい」ーーいまの首相に聞かせたい野田佳彦の「名演説」w
先週インターネットである動画が話題になった。野田総理の政権交代選挙となる2009年8月の衆院選の街頭応援演説だ。次をクリックすればYOUTUBEがみられる。http://www.youtube.com/embed/y-oG4PEPeGo
「マニフェスト、イギリスではじまりました。ルールがあるんです。書いてあることは命懸けで実行する。書いてないことはやらないんです。それがルールです」ではじまり、
「消費税1%分は、二兆五千億円です。十二兆六千億円ということは、消費税5%ということです。消費税5%分のみなさんの税金に、天下り法人がぶら下がってるんです。シロアリがたかってるんです。それなのに、シロアリ退治しないで、今度は消費税引き上げるんですか?
消費税の税収が二十兆円になるなら、またシロアリがたかるかもしれません。鳩山さんが四年間消費税を引き上げないといったのは、そこなんです。シロアリを退治して、天下り法人をなくして、天下りをなくす。そこから始めなければ、消費税を引き上げる話はおかしいんです」と明言している。
シロアリのところは、政権交代直前の2009年7月14日、麻生内閣の不信任決議案の賛成討論でも同じ話をしている。衆議院のビデオライブラリーは残念ながら2010年からなので、この箇所はないが、テレビ動画はないのだろうか。消費税増税のキャンペーンを張っているマスコミは出しにくいのだろうか。ネットは別なので、冒頭のURLをクリックすれば動画が見られる。
都市再生機構など大物天下り先は温存
シロアリは退治できたのか。まったくしていない。天下りは、政権交代直後に「現役出向」などという、かつての民主党だったら「裏下り」と批判すべきモノを天下りでないと正当化してしまった。この制度はもともと入省直後の若い人を対象として民間などへ武者修行に出す制度で、定年間近の人を「天下り」させるものでない。
シロアリの巣も退治していない。20日、独立行政法人改革を閣議決定した。現在102ある独法を65に再編するというが、これこそ数合わせだ。肝心要の予算がいくらカットできるかが書いていないし、聞いてもわからない。
個別に見ても、民営化すべき都市再生機構などの大物独法も引き続き天下り先として温存する。日本貿易保険も民営化しないで、全額政府出資法人とし焼け太りになっている。各省が好き勝手放題なのは、財務省が身を切っていないからだ。酒類総合研究所は廃止というが、国に戻すのだ。財政状況が大変といいながら、身内には甘い財務省を霞ヶ関各省はよく見ている。
いずれにしても、シロアリもシロアリの巣もなくなっていない。シロアリ退治はマニフェストに書いてあるが、命がけでやらない。また、20兆円近い税・保険料の増収が期待でき、しかも不公平がなくなる歳入庁はマニフェストに書いてあるが、これも命がけでやらない。聞けば「これからやる」というが、いつまでとはいわないし、これまで政権交代後2年半もたつのに何もやっていない。
マニフェストに書いていない消費税を上げる。書いていないことはやらないといいながら、やるのは、子どもでもおかしいとわかる。