地質学雑誌
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論説
阿蘇カルデラ北西壁に分布する先阿蘇火山岩類の地質学・岩石学的研究:先カルデラ火山活動における噴火活動とマグマ供給系
古川 邦之三好 雅也新村 太郎柴田 知之荒川 洋二
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2009 年 115 巻 12 号 p. 658-671

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抄録

先カルデラ火山活動期の噴火活動およびマグマ供給系を明らかにするため,カルデラ北西壁に分布する先阿蘇火山岩類の地質調査,全岩化学分析およびSr, Nd同位体比分析を行った.カルデラ北西壁は,主に安山岩溶岩から構成され,一部にデイサイト溶岩が分布する.これらの比較的穏やかな噴火様式からカルデラ噴火への噴火様式の変遷は,豊肥火山地域における地殻歪速度の減少に起因している可能性がある.また先阿蘇火山岩類の全岩化学組成は,カルデラ形成期以降の噴出物と大局的には類似している.このことは,先カルデラ火山活動期のマグマがカルデラ形成期と同じく,地殻物質の溶融により生成されたことを示唆する.一方で,Sr同位体比は先阿蘇火山岩類とカルデラ形成期の噴出物で異なる.つまり先カルデラ火山活動期とカルデラ形成期のマグマは,全岩化学組成は類似するが,同位体組成が異なる地殻を溶融することにより生成されたのかもしれない.

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© 2009 日本地質学会
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