日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
蜂蜜の品質に関する研究
(第2報)加熱による品質変化
越後 多嘉志竹中 哲夫江沢 真
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1975 年 22 巻 4 号 p. 148-153

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抄録

蜂蜜を加熱することによって生じる糖含量,酸度,色および細菌生育阻止力の変化について調べた。
(1) 加熱温度,時間の増加に伴い,フラクトースとグルコースの含量比およびシュークロースとフラクトース,グルコース含量との比は小さくなる。総酸度にはほとんど変化ないが,ラクトン酸度と遊離酸度の比は大きくなる。
(2) 蜂蜜を加熱するとHMFが増加し,褐変反応によって蜂蜜は着色する。この反応の1経路としてHMFを経由する反応系が考えられ,蜂蜜のような酸性液中ではグルコースよりもフラクトースが反応しやすく,容易にHMFを生成し,しかもこの反応はアミノ酸なしでも進行する。しかしHMFからの反応は進行しにくい。
(3) Staphyloccus aureusに対する蜂蜜の生育阻止作用は高糖濃度,酸成分および過酸化水素によると考えられ,特に過酸化水素は蜂蜜中のグルコース・グルコースオキシダーゼ反応系によって生成している。蜂蜜を加熱して阻止作用が失われるのはグルコースオキシダーゼが失活して過酸化水素が生成しなくなるためと考えられる。
(4) 上記結果の実際の裏づけとして,工場での加熱工程における蜂蜜の品質変化を調査した。

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