日本臨床免疫学会会誌
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総説
全身性エリテマトーデスにおける炎症と動脈硬化
舟久保 ゆう
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2012 年 35 巻 6 号 p. 470-480

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抄録

  全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus : SLE)は若年女性に好発する慢性炎症性の自己免疫疾患である.SLE患者は動脈硬化性心血管病による死亡率および罹病率が高く,画像診断では若年齢から潜在性動脈硬化が進んでいることも明らかになった.動脈硬化は血管内皮傷害を発端に炎症性細胞やメディエーターが関与した血管の慢性炎症と認識されており,SLEにおける動脈硬化発症・進展過程にも慢性炎症や免疫異常の関与が示唆されている.SLEの動脈硬化危険因子として脂質異常症,高血圧,耐糖能異常といった古典的心血管危険因子だけでなく,高CRP血症,高ホモシスチン血症,高疾患活動性,炎症性サイトカイン,血管内皮傷害,自己抗体や治療薬などが候補にあがっている.今後はSLE患者でも動脈硬化リスクを評価する必要があり,さらに動脈硬化の予防戦略と最適な治療法の確立が期待される.

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© 2012 日本臨床免疫学会
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