2018 年 58 巻 2 号 p. 152-157
頭頸部領域の心身症に対する認知行動療法では, 症状を悪化・維持させている習慣行動や症状に対する認知的評価が中心的な治療ターゲットであり, その有効性が明らかにされている. 舌痛症およびドライマウスに関しては, 認知的要因の重要性を指摘する研究は存在するものの, 回避行動や安全行動の重要性についての報告はこれまで存在してないが, 症状を悪化・維持させている習慣行動を治療要素に取り入れることで, 良好な結果が得られた. 舌痛症およびドライマウスに対しては, 認知的要因への介入に加えて, 回避行動や安全行動などの習慣行動を治療対象とすることで, より効果的な治療の提供が可能になると考えられる. また, 舌痛症やドライマウス以外の頭頸部の心身症に対しても, 症状を悪化・維持させている習慣行動や症状に対する認知的評価に基づく認知行動療法が効果的な治療法となる可能性があるといえる.