健康医学
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健診・人間ドックで発見される肥満のない脂肪肝例に関する検討
宇野 邦子池田 敏柳本 奈津子谷 理恵子森 直美横谷 利子戸羽 祥二後藤 彰夫
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2004 年 19 巻 4 号 p. 574-579

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抄録

目的:健診で発見された肥満のない脂肪肝例について生活習潰病との関連を中心に検討した,方法:人間ドック受診者のうち,body mass index(BMI)25kg/m2未満の男性625人,女性679人を対象とした.結果:腹部超音波検査(US)により男性30.2%,女性13.4%に脂肪肝を認めた.脂肪肝例と非脂肪肝例の比較では男女とも脂肪肝例で尿酸,GPT,γ-GTP,空腹時血糖が有意に高値で,HDLコレステロールが有意に低値であった.検査異常の出現率も,脂肪肝例で高血圧,高GPT,高γ-GTP,高コレステロール(TC),高中性脂肪(TG),耐糖能異常の出現が有意に高率であった。検査異常の出現を目的変数としたロジスティック回帰分析を行い,高血圧,高TG,耐糖能異常の出現に対し,脂肪肝はBMとは独立した危険因子であった.脂肪肝の発症を目的変数とした検討では性,高TG,高血圧,BMIの順に有意であり,すなわち男性で高TG,高血圧を有する人に脂肪肝のリスクが高く,BMI25kg/M2未満でもBMIが増えると脂肪肝のリスクが上がることが示された.結論:非肥満例でも高率に脂肪肝が発見され,脂肪肝は生活習慣病発症の危険因子の1つと考えられた.脂肪肝が発見された例は,BMが正常範囲であっても他の生活習慣病の危険因子に注意し,食事や運動を中心とした生活指導が必要と考えられた。

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© 公益社団法人 日本人間ドック学会
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