脳と発達
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抗てんかん剤長期服薬児におけるくる病について
横山 純好松井 忠孝小松 幹夫武田 浩枝中澤 道人三輪 正樹児玉 荘一
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1984 年 16 巻 6 号 p. 463-469

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抄録

神戸大学小児科で抗てんかん剤を3年以上服薬している患児92例を対象に血清Ca, P, Al-p, 25-OH-D値を測定, 92例中80例に対してはM. D. 法によりΣGS/Dを測定した. 1) 血清Ca値は21例 (22.8%) が異常を示し, かつ服薬期間が長い程異常を示す比率が高く, 10年以上服薬群では15例中9例 (60%) が異常であった. 2) 25-OH-D値は17例 (18.5%) が異常を示し, 特に10年以上服薬群では15例中8例 (53.3%) が異常を示した.また17例中8例 (47.1%) においてΣGS/D値が平均-1.65S. D. 未満であった. 3) ΣGS/D値は80例中11例 (13.8%) が平均-1.65S. D. 未満であり, その内9例が7年以上の服薬, 8例が多剤併用例であった.また11例中8例 (72.7%) において25-OH-D値が異常を示した. 4) くる病発症の要因には多剤の抗てんかん剤を長期に服薬することが考えられ, 早期発見には血清Ca, 25-OH-D値とともにΣGS/D値の検索が有用である.

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© 日本小児小児神経学会
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