哺乳類科学
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日本産哺乳類の最近の分類体系
―阿部(2005)とWilson and Reeder(2005)の比較―
本川 雅治下稲葉 さやか鈴木 聡
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2006 年 46 巻 2 号 p. 181-191

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抄録

日本産哺乳類の最近の分類体系について,阿部(2005)「日本の哺乳類 改訂版」(以下,日本哺乳類2)とWilson and Reeder(2005)「Mammal Species of the World」第3版(以下,MSW3)での扱われ方について検討した.明らかな外来種と鯨目,および海牛目を除くと,日本産哺乳類として,日本哺乳類2は116種,MSW3は120種を認めた.高次分類群に関連して,日本哺乳類2を含む従来の文献で食虫目(Order Insectivora)とされていた一群は,MSW3ではアフリカトガリネズミ目(Order Afrosoricida),ハリネズミ形目(Order Erinaceomorpha)およびトガリネズミ形目(Order Soricomorpha)の3つに分割され,日本産の「食虫目」に含まれるトガリネズミ科とモグラ科はすべてトガリネズミ形目に含まれた.種レベルでの両書の分類体系について,記述された内容や引用文献の内容などに基づいて対応表を作成したところ,種レベルでの分類体系について両書で相違が見られた.また,両書が編集,出版された後に,日本産哺乳類の分類体系について大きな変更や分類学上の重要な知見がいくつかの種で得られている.これらの37項目について,本文中でコメントした.

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© 2006 日本哺乳類学会
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