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ダム温故知新
《第17回》 三滝ダムを訪ねて

写真・文 安河内 孝

 当ダムは、1937年竣工の日本で最後に造られたバットレスダムで、水圧を受ける鉄筋コンクリート版(遮水壁)を扶壁(バットレス)によって支える構造である。日本では扶壁式ダムとも呼ばれる。

 その希少性から2002年に土木学会選奨土木遺産に選ばれている。現存するのは6施設であり、消失も含めて8施設が大正から昭和にかけて造られた。当時は、コンクリートの使用量をおさえた経済的なダムとされたが、人件費が高い今日においては、型枠を多く使用するため型枠工の人件費が高く、逆に不経済となる。また、部材が薄いため、厳しい気象の影響を受け易く、当ダムも昭和40年代に遮水壁と梁を補強する大規模な工事が行われた。扶壁の奥、遮水壁の手前にコンクリートブロックを積み、壁を設け、コンクリートの凍害を防ぐ為の保温壁としている。両サイドに洪水吐きが設置され、日本で造られた最後のバットレスダムとして、立体和風格子の貴重な扶壁の姿を今も残す。

障子の桟のようにも見える扶壁

扶壁の奥には、凍害を防ぐための防護壁としてのコンクリートブロックが見える
(これは、「月刊ダム日本」からの転載です。)
[関連ダム]  三滝ダム
(2013年12月作成)
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