ゲラ_

「あわて床屋」

ゲラ<galley>とはゲラ刷りの略で、校正のための試し刷りのことですが、最初のものを「初校」次を「再校」さらに「三校」と来て、最後が「念校」!。念押しとか、念のためということなんでしょうね。講談社の時は「青焼き」といって、ブルーコピー(?)で最終チェックしていたんだけど、印刷所によってシステムが違うのかな?私はこういった行程には詳しくないんで…それにしても、いやぁ大変だ。活字の本と違って、マンガのチェックっていうのは勝手が違う筈。アミが抜けてるとか、線が消えてるとか…もっともそれは私の役目なんですが(笑)。ここで見落とすと再刷時に直すなんてことにもなる。どれだけ入念にチェックしても、し過ぎることがないのが校正という仕事。きっと奥が深いんでしょうね。
画像の「あわて床屋」は北原白秋・作詞/山田耕作・作曲(大正8年)の童謡を原作素材として、
♪春は〜ぁ 早よぅか〜ら〜ぁ 川辺〜のぉ葦〜に〜ぃ♪
蟹が店出しぃ 床屋でぇござ〜る〜ぅ チョッキン チョッキン チョッキンナ♪
っていう歌の世界をミュージカル仕立てにして、カエルの合唱で楽しく愉快につないでみました。こういうのってそうそう巡りあえる素材じゃないから、演出冥利に尽きますね。とっても面白い仕事でした。
後年、エイケンからの依頼(DAMからの発注)で童謡のカラオケのバックに流れるアニメを何本も作ったことが有りますが、曲に合わせたイメージを作り上げ、動きを組み立てるのは、難しいけど完成時の嬉しさは格別です。DAMで童謡を選曲すると、きっと今でも私の作った映像が流れていると思いますよ。曲目は?…手元にはリストが無いなぁ。調べることも出来るけど、ま、そこまではいいでしょう。でも、カラオケで童謡歌うって、どうよう?(寒!)。
NHKの「みんなのうた」も一本位はやってみたかったななんて、今頃になって思います。せっかく接点が有ったのに…。十何年か前の「舞ちゃん」っていう女の子がお料理を作るNHKの「ひとりでできるもん!」のアニメ部分は私(と矢沢)が作りました。このアニメも歌に合わせての動きです。クッキングとシスターズ(りぼん、ヘアー、ソックス)のキャラクターデザインは私(とカミサン)。そんな関係で。このキャラ表は…デザイン料貰ってるから、載せるわけにはいかないかもね。画像ならネット上のどこかに有るでしょうけど。

芝山さん_

東京新聞の連載記事「アニメ大国の肖像」は今週から芝山努さん。文中にしばしば小林治さんの名が出てきます。もう昔からあの二人は一体ですね。描く絵まで区別ができなくなったっていうんだから。「亜細亜堂」って表記だけでOK。どっちが担当かなんて分からなくていいんです(笑)。
それにしても「視聴率100パーセントの男」って異名が有ったとは知らなかったなぁ。ご自身が手掛けた三番組を足すとそうなるんですって。「ドラえもん」「ちびまる子ちゃん」は監督だからともかく「まんが日本昔ばなし」を足すと、ってのが…?…だけどね(芝さんが自分からそんなこと言う筈ないし、構成者の作りかぃ?!)。

第十番惑星_

子供の頃、「第十番惑星」っていうSFを読んだ記憶がある。多分小学校高学年か中学生の頃だ。他の「魔の衛星カリスト」「宇宙探検220日」っていうタイトルも覚えてる。全集もので、貸し本屋さんで片っ端から借りて夢中で読んだっけ。小学生の頃から野尻抱影の宇宙や星座の本を愛読してたこともあって、星にはとても興味があったのです。中学での部活動は科学部の天文班(運動部はテニス部だったが、すぐ辞めた・余談)。ただし、この天文班は二年の時に私一人となり消滅となる(情けなし)。
何でこんなことを書いたかというと、昨日、第9番惑星が消えてしまったから!。冥王星は「惑星」じゃないってことになりました。そんな馬鹿なぁ!!!冥王星程度の質量の星が幾つも発見されちゃったから、仕方がないって言えばそれまでなんだけど…(実際、月より小さいんだしね)。私が子供の頃はそれこそ冥王星がさいはての惑星で、その彼方にはひょっとして未知の惑星が有るかも…っていうのが絶対のロマンだった。「第十番惑星」のタイトル変更しなくっちゃ。
※蛇足トリビアアメリカ人が1930年に発見し命名したPlutoを、日本での呼び名を「冥王星」とした人が野尻抱影です(作家、大佛次郎の兄)。