改正総一郎の外断熱・外張り断熱日記

断熱工事に関わって38年。
快適・健康・省エネ建築について探求し続ける日々の雑記帳。
建物の外皮性能、計画換気など。

TVCCの火災に思うこと

2009-12-14 09:53:21 | 日記
【TVCC火災】



you-tubeでTVCCの火災を見たときにはびっくりしました。
そして東京大学の野口研究室はyou-tubeを利用して
火災状況を時系列で解析した報告をされたのです。これもまたすごいですね。
you-tubeのようなシステムはうまく使えば世の中を変えていく
大きな要素になる気がしますね。


前述の東京大学野口准教授の話だと、
TVCCビル火災は花火で引火した火が
屋上から室内に入り、
室内から外部の乾式通気層の外断熱XPS
(押しだし法ポリスチレンフォーム)に引火、
最上階から159mを二時間半で三面全焼したみたいです。

構造は日本で言うカーテンウォールのようなもので、
構造をなすフレームの外側にXPSで断熱をし、
通気層の外側に、カーテンウォールで仕上げてあるそうです。

今までの私の常識では、
上部の炎は通気層の上昇気流で燃え広がらずに鎮火するか
ゆっくりと下部へ延焼していくと思っていましたが、
すごい早さで炎が下部へ伝搬していったようです。


この現象について中堅ゼネコン数社の研究者で構成する
建築研究会という研究グループと
東京大学大学院・野口研究室、建築研究所とで意見交換会がありました。
その時に感じた私の意見は以下のものです。

1、断熱材XPSの種類
原設計が断熱には高い性能を求めるオランダ(北欧)の設計事務所なので、
断熱材は熱抵抗の高いものを使用していたのではないか。
熱抵抗の高い発泡プラスチックは樹脂量が多くなる傾向があるので
燃焼エネルギーは高い。

2、外断熱用の発泡プラスチック
難然加工されてないものを使用していたのではないか。

3、引火した際に発生する可燃性ガス
ガスが通気層内で何らかの条件で上昇せず、
横もしくは下方へ発火しながら進んだか、
通気層内で滞留し発火したのではないか。

この現象は、煙突現象が生じる通気層内で
空気が乱気流を起こしている状態を
京都工芸繊維大学・芝池准教授の学会論文で見たことがあります。
建築中の事故なので、その他にも防火構造が
未完成だったこともあると思います。



この事故は以前から危惧していた心配を現実にしました。

日本では外張り通気層工法は木造住宅で数年前から普及しており、
断熱材には可燃性が高いと言われる
発泡ウレタンやXPS(押し出し法ポリスチレンフォーム)が使われ、
下端部の防火対策や壁体内部のファイアーストップ機能等を
施されていない建物が多く作られています。

ドイツ訪問時にフランフォーファー建築物理研究所の研究員が
危惧されていたことが今まさに現実化した思いです。

私は今、古民家移築再生を高気密高断熱で行っていますが、
発泡プラスチックの中では比較的防火性が高く、
断熱性能がいいフェノールフォームを使っています。


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