歌手・女優として活躍している、田村芽実さん。ミュージカル『ヘアスプレー』にアンバー役で出演が決定し、舞台女優としても注目を集めています。
12歳でスマイレージ(現アンジュルム)メンバーに合格した彼女。アイドル活動中は、群馬から片道3時間かけて東京でのレッスンやコンサート会場に通う日々を送ってきました。
「多感な時期を群馬で過ごしたからこそ、今があるんです」と話す田村さんに、生まれ育った群馬への愛を語ってもらいました。
田村芽実の感情が爆発した「焼きまんじゅう事件」
―― 数カ月前、Twitterで、田村さんのこんな投稿を見つけまして。
私、ブスとかバカとかって言われることよりもなによりも「焼きまんじゅうってまずいよね?」って群馬県民以外の人に言われるのがいっっっっちばんいや!!!
— 田村芽実 (@Tamura_Meimi) October 4, 2019
(田村芽実公式Twitterより)
―― 「これはもうSUUMOタウンで群馬愛を伺うしかないね」と、すぐにオファーさせていただきました。やっと実現できてうれしいです。
田村芽実さん(以下、田村):ありがとうございます。これ、実際に言われちゃったんですよ。ちょっとカチンときて、「いや、美味しいよ!」って気持ちがあふれて、ついつぶやいちゃった(笑)。
―― しかも、投稿時間が夜遅かったんですよ。いきなり思い出し怒りしちゃうくらい、地元名物が大好きなんですね。
田村:私、今でも焼きまんじゅうが食べたくなると、実家に帰っちゃうくらい好きなんです。その人は、冷めた焼きまんじゅうしか食べたことがなかったのかな? それか、「まんじゅう」なのに、中にあんこが入っていないから、びっくりしたのかも。焼きたては本当にふかふかで、どのお店で食べても美味しいんですよ!
―― 焼きまんじゅう専門店はたくさんありますが、どこのが好きですか?
田村:大好きなのは、伊勢崎市民病院の近くにある「忠治茶屋連取店」ですね。小さいころから、お父さんに連れて行ってもらってよく食べていました。ぜひ、県外の人にも焼きたてを食べてもらいたいんですけど、手土産にすると、渡すころには冷めちゃうんですよね。
―― 焼きたては現地でだけ食べられる、贅沢グルメなんですね。
田村:そうそう、私が子どものころ、あんこが入った焼きまんじゅうが登場したんですよ。でも、群馬人はみんな、中身が入っていないスタンダードなタイプが好き! あっ、焼きまんじゅうのお話してたら、お腹が鳴ってしまいました(笑)。
ミュージカル業界の将来を担う女優ながら、一切飾らない田村さん
地元グルメを率先してPR
田村:あとね、群馬はみそパンも美味しいんです。
―― 「みそパン」? どんなパンなんですか?
田村:ふわふわしたコッペパンの中に、味噌が塗ってあるんです。群馬グルメの定番で、県内のパン屋さんなら、どこでも売ってます。アンジュルム時代、よく新幹線に乗る前に前橋駅でみそパンを買って、楽屋でメンバーに配ってました。
急に真面目な表情になり、地元名産品について語りだす
―― そんなに美味しいんですね。試してみたいです。
田村:甘いものだと、元祖生クリーム大福の「妙ちくりん」も美味しいです。要冷凍商品なので、なかなか人にお渡しできないんですけど、おすすめです。
―― クリーム大福……魅惑の響きですね。日持ちがするもので、おすすめのお土産も教えてもらえますか?
田村:群馬で絶対買って帰るお菓子は、幸煎餅の「七福神あられ」ですね。チーズ味とかバター味とか、7種類入ってるんです。ひとくちサイズで個装されているので、喜ばれるんですよ。スーパーにも売っているので手軽だし、なにより美味しいです。東京でお世話になった方にお渡ししています。
―― 周囲の方に、地元をPRしているんですね。逆に、東京で買える群馬アイテムはありますか?
田村:たまに見かける「こんにゃくパーク」のこんにゃくも、懐かしくなってつい買っちゃいます。付属の味噌をつけて、そのまま食べるんですよ。
伊勢崎市出身 上京せずにアイドル活動と学生生活を両立
取材中、幼少期を振り返りながら、照れる田村さん
―― 田村さんが生まれ育った群馬県伊勢崎市は、どんな街ですか?
田村:すごく栄えているわけではないけど、薬局もファミレスも一通りある街です。必要なものは全部そろうけど、中学生が憧れるようなお洋服を買うには、少し足りない感じかな? でも、とっても落ち着くんですよね。
―― 14歳でアイドルデビューしてからも上京せず、群馬と東京を往復する毎日を送っていたそうですね。
田村:ハロー!プロジェクト時代は、毎日往復6時間くらいかけて移動していました。やっぱり大変だから、電車の中では学校の宿題をしたり、仕事のダンス動画や歌を覚えたりして、なんとか時間を有効活用して乗り越えましたね。
―― 隙間時間に勉強まで。努力家ですね。
田村:学校の勉強も、手を抜きたくなかったんです。私が芸能界のお仕事にまっすぐ取り組んでいるのと同じように、先生も教師のお仕事に誇りをもっていたと思うし、「お仕事が忙しいから」と中途半端な気持ちで授業に出席するのは失礼だなと思って。授業中も、一回も寝たことないんですよ。
―― 立派です。
田村:移動って疲れるし、時間がもったいないという声もよく聞くけど、アイドル時代の「通勤」のおかげで、自分の時間をつくるのが上手くなったなと感じていますね。今も、隙間時間を優雅に楽しむことができています。
―― 勉強やお仕事のインプット以外には、どんなことをして過ごしていたんですか?
田村:高崎からは新幹線に乗り換えしていたんですけど、駅の本屋さんで小説を買って楽しんでいました。吉本ばななさんとか、原田マハさんとか。定番ですけど、村上春樹さんや東野圭吾さんの作品もよく読んでいましたね。新幹線の中で、物語に入るのが好きだったんです。もともとは、気合いを入れないとなかなか読書できないタイプだったんですけど、移動時間でいろんな作品に触れることができたのが、今の演技のお仕事にもつながっています。
群馬で触れた芸術が血肉に
幼いころは、宝塚を目指していたという
―― 田村さんは、芸能界を目指したのが早かったんですよね。
田村:もともと、母は姉と私を芸能活動させるつもりはなかったようなんです。でも、「楽しいこと」として、小さなころから演劇や歌にたくさん触れさせてくれました。今思うと、本当にありがたいですね。
みんな群馬に海がないことバカにしすぎじゃない?? pic.twitter.com/NVl2WJRpML
— 田村芽実 (@Tamura_Meimi) March 23, 2017
赤ちゃん時代の田村さんと、お姉さん(田村芽実公式Twitterより)
―― なかでも、印象的だったのは?
田村:小学校1年生のときに、宝塚が全国公演で群馬に来てくれたんです。母が連れて行ってくれたんですけど、本当にキラキラした夢みたいな世界で。「私、ここに入りたい!」と思いました。そこから、宝塚を目指して、地元のミュージカルスクールに通うようになったんです。
―― 小さいころから舞台にも出演していたんですよね。
田村:ミュージカルにも出させていただいたんですが、私は声楽をやっていたわけではないし、プロダクションで特別なレッスンを受けたこともなかったんです。ただ、群馬の田舎に住んでいたので、大声を好きなだけ出して歌える環境だったんですね。朝から晩まで音楽をかけて、ずーっと家族で歌っていました。ドライブ中も歌っていたし、そういう意味では練習量は多かったかも。
「なにもしない」をしに群馬へ帰る
―― 群馬に帰るときは何をして過ごすんですか?
田村:ユーミン聴きながら、「なにもしない時間」を楽しみます。実家の庭で犬が遊んでいるのを眺めていますね。東京にいると、「なにかしなきゃいけない」という気持ちになるんです。インプットしなきゃ、アウトプットしなきゃ、人と会わなきゃ、って。でも、群馬にいると、心の底からゆったりできるんですよ。
東京にいると、良くも悪くも仕事モードが抜けないそうだ
―― たしかに、都会にいると、休みの日でもどこか気が焦ってしまいますよね。仕事のことが頭から離れないです。
田村:そうなんです。でも、東京も好きなんですよ。ハングリー精神が鍛えられるし。田舎に比べると物価も高い街だからこそ「お仕事を頑張って生きていかなきゃ」っていう気持ちがわいてくるんです。ずっと地元にいたら、もっと楽観的に考えてしまっていたかもしれない。大人になって、東京に出てよかったなと思えるようになりました。
―― ゆったり過ごすのがメインとのことですが、地元に戻ったら立ち寄る場所はありますか?
田村:不思議の国のアリスをテーマにした雑貨屋さん「Alice Blanche」が大好きで、実家に帰ると絶対に行きますね。ドライブ中にたまたま見つけてから、はまっているんです。あとは、まだ行けていないんですが、次に帰るときは「店なし雑貨屋」も立ち寄りたいです。東京で蚤の市に行ったとき、素敵なブースがあって。お店の方に話しかけたら、群馬で店舗があると聞いて。
―― 先日はご家族で美術館にも行っていましたよね。
田村:みどり市なので少し遠いんですけど、なんで今まで来なかったんだろう? と悔しくなるくらい、素晴らしい美術館でした。
今日は、ままと群馬県みどり市にある富弘美術館へ行ってきました。
— 田村芽実 (@Tamura_Meimi) February 28, 2020
群馬県出身なのに、初めて行きました。
なんで今まで来なかったんだろう。
素晴らしい美術館でした。
群馬県に来た際はどうか立ち寄ってみてほしいです。 pic.twitter.com/TTKbMK3Thc
(田村芽実公式Twitterより)
田村:そういえば、先日、エンタメ関係の方に「群馬県って、エンタメ振興に力を入れてるの?」って聞かれたんですよ。毎年、必ず群馬出身の就活生から応募がくるみたいで。私もそうですが、美術館や舞台を見て、エンタメ業界への夢を追う人が多いのかもしれないですね。
東京は、私にとって「叶える」場所
―― アンジュルム時代、メンバーに群馬名物のミニだるまを差し入れしたというエピソードがありました。もう、当時の夢は叶いましたか?
田村:思い出した! ありましたね。当時のリーダー・和田彩花さんのお母さんも、メンバーカラーのだるまをみんなにくださったので、家にだるまがいくつもあるんですけど、まだ全部片目なんです。
―― あれ、アンジュルム卒業時の「ミュージカル女優になりたい」という夢は、もう叶ったのでは?
田村:まだまだ夢がたくさんありますもん。何かが上手くいっているときって、それまでとは違う景色が見えるじゃないですか。どんどん欲が出てきちゃうんです。今も、1年前に描いていたものとは、まったく違う夢がいっぱいあります。だからこそ、毎日楽しくお仕事ができているのかな。
―― 向上心が強いんですね。
田村:東京は、私にとって夢を「叶える」ための場所。これからも、前を向いて頑張ります。
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お話を伺った人:田村芽実(たむらめいみ)
2011年、スマイレージ(現アンジュルム)としてデビュー。高い歌唱力と表現力で、中心メンバーとして活動。兼ねてからの夢であった女優の道を志すため、2016年に同グループを卒業。以降、ミュージカル、ストレートプレイ、時代劇などさまざまなジャンルの舞台に出演。 2018年にはビクターエンタテインメントよりメジャーデビューを果たし、歌手としても女優としても精力的な活動を行っている。2020年4月8日、ソロ歌手として初のフルアルバム『無花果』をリリース。同年6月には、ミュージカル『ヘアースプレー』の日本初公演にて、アンバー役での出演が決定している。
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聞き手:小沢あや
コンテンツプランナー / 編集者。音楽レーベルでの営業・PR、IT企業を経て独立。Engadget日本版にて「ワーママのガジェット育児日記」連載中。SUUMOタウンに寄稿したエッセイ「独身OLだった私にも優しく住みやすい街 池袋」をきっかけに、豊島区長公認の池袋愛好家としても活動している。 Twitter note