現在の三国トンネル(左)と、19日に開通する新三国トンネル=15日、湯沢町三国
現在の三国トンネル(左)と、19日に開通する新三国トンネル=15日、湯沢町三国
道幅が狭い現在の三国トンネル。大型車両のすれ違いが困難だった(高崎河川国道事務所提供)

 新潟県の湯沢町と群馬県みなかみ町を結ぶ国道17号の「新三国トンネル」(1284メートル)が、19日に開通する。現在の三国トンネルは関越道の通行止め、混雑時の代替路も果たし、新潟・群馬県境で危険物積載車両が通行できる唯一の道だが、道幅が狭く、大型車のすれ違いが困難という課題があった。新トンネルは道幅が8・5メートルと3メートル広くなり、安全性が向上する。観光地である湯沢町と首都圏との往来も快適になることが期待される。

 現三国トンネルは1959年に開通した。国土交通省高崎河川国道事務所(群馬県高崎市)によると、経年劣化の補修を繰り返したことで、徐々に内壁が厚くなり、元々6メートルあった道幅が5・5メートルにまで狭まった。大型車両のすれ違いが困難となり、車が壁をこする事例も少なくなかった。

 可燃物を積んだタンクローリーなど危険物積載車両が、道幅の狭い三国トンネルを通らざるを得ないという問題もあった。新潟・群馬県境には他に関越道の関越トンネル(約11キロ)があるが、危険物を積んだ車は、長さ5キロ以上のトンネルは通れない規定があり、通行できないためだ。

 県や湯沢町などは、かねて新三国トンネル建設を国に要望。2013年、現トンネルのすぐ隣で建設が始まった。片側1車線で、長さは現トンネルより66メートル長い1284メートル、道幅は8・5メートルに広がった。総工費は約140億円。新トンネル開通後、現トンネルは閉鎖する予定。

 高崎河川国道事務所の水澤良幸副所長(54)は「国道17号は関越道と並び、日本海と関東を結ぶ重要な幹線道路だ。新トンネルができることにより、雪などで高速道が通行止めになっても、物流や観光面の代替路としてより使いやすくなる」と説明する。

 三国トンネルの近くに位置する湯沢町苗場地区はスキー場やホテルなど観光施設が多く、冬季やイベント時には交通量も増える。新トンネル完成に、地元からは歓迎の声が上がる。

 ホテルを経営する男性(59)は、群馬側に客を送迎するときなどに三国トンネルを利用しており「今のトンネルは暗く狭いため、大型車とすれ違うときは徐行しないと危ない。トラックが壁をこすって火花を散らしているのを見たこともある」と振り返る。新トンネルは道幅が広くなり、「頻繁に使う住民としてはありがたい」と語る。

 田村正幸町長は「念願の開通だ。首都直下型地震や南海トラフ地震を考えたときに、関東圏からの防災道路として新トンネルが果たす役割は大きい」と話す。その上で、「湯沢インターチェンジから県境までの約25キロには老朽化した複数のトンネルや急カーブ、急勾配がまだある」として、国道17号のさらなる整備を要望している。

 新トンネルは19日午後4時から、一般車両の通行ができる。