門脇麦初の台湾映画『オールド・フォックス』6月公開 ホウ・シャオシェンがプロデュース

門脇麦の台湾映画初出演作が6月公開

 台湾と日本の合作映画『Old Fox(原題)』が、『オールド・フォックス 11歳の選択』の邦題で6月14日より新宿武蔵野館ほかにて全国公開されることが決定した。

 第36回東京国際映画祭でワールドプレミア上映された本作は、『悲情城市』『黒衣の刺客』などのホウ・シャオシェンがプロデュスを手がけた人間ドラマ。第60回台北金馬映画祭で監督賞、最優秀助演男優賞(アキオ・チェン)、最優秀映画音楽賞、衣装デザイン賞の4冠を達成している。

 監督を務めたのは、『台北カフェ・ストーリー』のシャオ・ヤーチュエンが監督。シャオ・ヤーチュエンはホウ・シャオシェン監督作品の助監督を務めており、シャオ・ヤーチュエン監督作全てのプロデュースをホウ・シャオシェンが手がけてきた。2023年10月に引退を発表したホウ・シャオシェンにとって、本作が最後のプロデュース作となる。

 台北郊外に父と2人で暮らすリャオジエ。コツコツと倹約しながら、いつか、自分たちの家と店を手に入れることを夢見ている。ある日、リャオジエは“腹黒いキツネ”と呼ばれる地主・シャと出会う。優しくて誠実な父とは真逆で、生き抜くためには他人なんか関係ないと言い放つシャ。バブルでどんどん不動産の価格が高騰し、父子の夢が遠のいていくのを目の当たりにして、リャオジエの心は揺らぎ始める。図らずも、人生の選択を迫られたリャオジエが選び取った道とは……。

 主人公リャオジエを演じるのは、『Mr.Long/ミスター・ロン』などの子役バイ・ルンイン。『1秒先の彼女』のリウ・グァンティンがリャオジエの父親を演じ、W主演を務めた。そのほか、リャオジエに影響を与える“腹黒いキツネ”(オールド・フォックス)と呼ばれる地主のシャをアキオ・チェン、シャの秘書を『怪怪怪怪物!』のユージェニー・リウが演じた。さらに、経済的には恵まれているが空虚な日々を生きる人妻・ヤンジュンメイを門脇麦が演じ、初の台湾映画出演を果たした。

映画『オールド・フォックス 11歳の選択』本予告

 あわせて公開された予告編は、1989年のバブルに揺れる台湾を舞台に、父(バイ・ルンイン)と家を買い亡くなった母の夢だった理髪店を開くことを夢に抱く11歳の少年リャオジエ(リウ・グァンティン)が、“不動産価格の高騰”という残酷な現実を知るシーンから始まる。貧しさ故にいじめにも遭い、不公平を知ったリャオジエは、遂にリャオジエが住む家の家主の呼称で、高級車を何台も所有し、不動産バブルで儲けまくっていたオールド・フォックスと出会う。オールド・フォックスは「不平等を利用し、強者になれ」とリャオジエに生きる術を教えると同時に「君の父は負け組だ」と人のいい父を蔑む。映像では、オールド・フォックスへの憧れと、父を馬鹿にされた悔しさに挟まれ、リャオジエが初めて父に反抗的な態度を取り「どんな大人になりたい?」という疑問を突きつけられる様子も捉えられている。

 また、本ポスターには、オールド・フォックスの横顔のシルエットの中、父の働くレストランの厨房で宿題をするリャオジエと働く父の姿、そして2人並んで自転車に乗る父子の日常が切り取られている。

 門脇とシャオ・ヤーチュエン監督からはコメントも到着している。

コメント

門脇麦(ヤンジュンメイ役)

台湾映画でしか感じられない色彩や湿度、空気感がどうしたって強烈に昔から好きで、これまで沢山の台湾の作品に触れてきました。
台湾映画に出演できるなんて信じられない!と夢心地で現場に向かい、スクリーンに映る自分を観ても、やっぱり信じられない!と夢心地で、幸福すぎる時間を過ごさせていただきました。
その場にただ居さえすれば全てが成立する現場の空気、監督の言葉以上に何かが伝わる眼差し、今思い出しただけでも胸が震えるような、そんな経験をしました。
日本での公開、とても嬉しいです。1人でも多くの方にこの作品が届きますように。

シャオ・ヤーチュエン(監督)

他人を思いやることですべての社会問題が解決できると思うほど、私も単純ではありません。しかし思いやりがなければ、社会的な格差と矛盾は拡がっていくことでしょう。では現代社会に向き合い、私は父親として、思いやりが人間としての基本であることを、子供にどう説明したものでしょうか?「オールド・フォックス」このストーリーは、私が子供から十年以上も受け続けた問いが発端となっています。かつて私は両親から価値観を与えられました。しかし世界は変わっていきます。私自身にも新たな学びが必要です。それによって私は自分の子供たちに、変わっても良いもの、変えてはいけないものが何なのかを、伝えられるのではないでしょうか。

■公開情報
『オールド・フォックス 11歳の選択』
6月14日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国公開
出演:バイ・ルンイン、リウ・グァンティン、アキオ・チェン、ユージェニー・リウ、門脇麦
監督:シャオ・ヤーチュエン
プロデューサー:ホウ・シャオシェン、リン・イーシン、小坂史子
配給:東映ビデオ
原題:老狐狸/英題:OLD FOX/2023年/台湾・日本/112分/シネマスコープ/カラー/デジタル/字幕翻訳:小坂史子
©2023 BIT PRODUCTION CO., LTD. ALL RIGHT RESERVED
公式サイト:https://oldfox11.com/
公式X(旧Twitter):@OLDFOX0614

関連記事

インタビュー

もっとみる

Pick Up!

「映画情報」の最新記事

もっとみる

blueprint book store

もっとみる