中古車販売大手のビッグモーターの店舗前の街路樹が、枯れたり切られたりしていたことが相次いで発覚した。事件で注目を集めるまで、あまり顧みられることのなかった街路樹は実は減少傾向で、専門家は「今、転換期にきている」と話す。
そもそも街路樹は何のために植えられ、どのような価値があるのか。現状はどうなっているのか。
ビッグモーター店舗前の街路樹をめぐっては、高木、低木ともになくなったり、弱々しく枯れてしまったりと、様々な被害が確認された。9月15日までに全国16都県で計38件の被害届が受理されているという。
街路樹に詳しい京都府立大の福井亘教授(緑地計画学・景観生態学)は「街路樹の価値が社会的に理解されていないことを象徴する事件だった。街路樹のメリットをもっと認識してほしい」と強調する。
そもそも街路樹は何のため?
街路樹は景観の向上に加えて、樹木の葉が夏の強い日差しを遮ってくれてヒートアイランド現象の緩和にも役立つ。二酸化炭素とともに汚染物質を吸収する作用もあり、都市の大気を浄化してくれる。火事の延焼を防ぐなど防災としての効果もある。
さらに人為的な植栽ではある…
- 【視点】
お住いの地域によっては、街路樹が一番身近な自然だという方もおられるかもしれない。そうではなくても、街の景観を形づくっている街路樹は、(今の時季であれば)木々の色づきとともに季節を感じるなどして、いつの間にかその街に暮らす人々の生活や記憶に入
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