【2月19日 AFP】17日に行われたサッカー欧州チャンピオンズリーグ2014-15(UEFA Champions League 2014-15)のパリ・サンジェルマン(Paris Saint-GermainPSG)対チェルシー(Chelsea)戦の試合前、パリ(Paris)市内の地下鉄で、自ら「人種差別主義者(レイシスト)」と叫ぶチェルシーファンたちが、黒人男性を押しとばして列車に乗せないという事件があった。フランスと英国双方の警察が現在、このファンらの捜索を開始している。

 スポーツ界の人種差別の問題に、新たな嵐を起こしそうな事件が起こった。その場に居合わせた乗客が撮影した動画には、ファンたちが電車に乗ろうとする男性を押し返し、「俺たちはレイシスト、俺たちはレイシスト、これが俺らのやり方」と叫ぶ様子が映し出されていた。

 デービッド・キャメロン(David Cameron)英首相は、この件について「由々しき事態」と話し、フランスの政治家は「制裁」を求めている。

 チェルシーは、事件について「忌まわしい」とコメントし、原因となったサポーターとは距離を置く姿勢を示した。

 英紙ガーディアン(The Guardian)に提供された動画では、複数のチェルシーサポーターが、混雑した車内へ乗り込もうとする男性を何度も押し返していた。彼らが差別の言葉を叫んだ後、列車を下りる黒人女性もいた。

 これを受けてフランスの検察当局は、「公共交通機関における意図的な人種差別」の捜査を開始したと発表した。英ロンドン(London)警察も、これに協力することを明らかにしている。

 映像はパリ在住の英国人、ポール・ノーラン(Paul Nolan)さんが同市中心部のリシュリュー・ドゥルオ(Richelieu-Drouot)駅のプラットホームで撮影したもの。ノーランさんはガーディアン紙に対して、目の前の出来事に「心からぞっとした」と話している。

 一方で車内にいたというチェルシーファンのミッチェル・マッコイ(Mitchell McCoy)さんは英メディアに対し、車両が満員だったため黒人男性を押し返しただけで、人種差別はなかったと語っている。

 この事件に対して、サッカー界の重鎮、さらに政治指導者はすぐさま非難するコメントを発しており、キャメロン首相は事件について、「由々しき事態であり、誠に遺憾。犯罪行為の可能性もある」とコメントし、英警察による協力を約束した。(c)AFP/Cyril Touaux/Tom Williams