日本食品工業学会誌
Print ISSN : 0029-0394
各種カラメル色案のリノール酸に対する抗酸化作用
市川 朝子藤井 聡河本 正彦
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1975 年 22 巻 4 号 p. 159-163

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抄録

製造方法の異なるカラメル(A: glucose-NaOH-(NH4)2SO3, B: glucose-NH4OH, C: glucose-Na2SO3-(NH4)2SO3, D: sucrose+加熱)のリノール酸に対する抗酸化力について検討した。結果は以下に示すとおりである。
(1) 4種類のカラメルは,いずれも添加量の増すにつれて,抗酸化力は急激に大きくなる。各カラメルの抗酸化力は,BHAの効力と比べ,カラメルBがほぼ1/11,A, Cが1/100, Dは1/500とみなされた(図1)。
(2) 抗酸化力の経時的変化を検討した結果,一般にPOVは時間と共に値は上昇し,抗酸化力の低下が認められた。
カラメルBの抗酸化力は,経時的に最も安定でかつ強く,A, C, Dの順に弱くなった(図2a, b)。
(3) カラメル透析物の抗酸化力は,いずれのカラメルも非透析物の方が透析物より強かった。また,種類別にみると,カラメルBが透析物,非透析物共に最も抗酸化力が強く,カラメルCは,非透析物のみに強い抗酸化力が認められた(図3)。
(4) カラメルの色価と抗酸化力の関係は,カラメルおよび非透析物では,色価の大きいものほど,抗酸化力が大きかった(図4)。
(5) カラメルの窒素含有量と抗酸化力の関係は,一般に窒素含有量の多いものほど抗酸化力は大きい傾向にあった(図5)。一方,還元力と抗酸化力の間には顕著な関係は認められなかった(図6)。

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