5月24日(月) >>
いよっ!セ界一 立浪、王さん超え
423本目の二塁打放つ

横浜−中日 8回表1死一、三塁、右翼線にセ・リーグ新の423本目の二塁打を放つ立浪=横浜スタジアムで(市川和宏撮影)

◆中日8−2横浜

 その予告は、自らへの檄(げき)だったのかもしれない。

 「ヨシッ、きょう打とッ。できれば右中間にバチッと。ライト線でもいいですね」。その3時間後、言葉は現実になった。8回1死一、三塁。東の直球をたたき、一塁を破り、右翼線を力強く転がっていった。塁上で両手をパチン! 立浪和義内野手(34)が、世界の王を超えた−。

 423本目の二塁打が、タイムリーとなり、勝利にも貢献した。立浪が何よりも優先するフォア・ザ・チーム。だから素直に喜び、笑顔で振り返った。16年前の4月。初ヒットも大洋戦で、二塁打だった。

 「そういえば、初めてのヒットもそうでしたね。ボクにとっては(二塁打が)一番うれしいヒット。狙って打てるもんではないけれど、ボールを強くたたこうという意識が二塁打につながるんだと思います」

 2000本安打を放ったばかりのイチローですら、二塁打は305本。二塁打を打つということに限れば、立浪以上の打者は過去も現在も存在しない。「ボクは王さんにあこがれて、野球をやっていたんです」。巨人ではなく、王貞治が好きだった。本塁打の数では遠く及ばないが、たった一つでも実績を超えた。もはや頭上には福本豊(阪急)と山内一弘(広島)しかいない。

 「福本さんは足が速いから、三塁(三塁打も日本記録保持者)までいった。王さんはホームまでいった。ボクはベストヒットが二塁打です」

 福本は三塁への通過点、王は本塁打の打ち損じ。だが、立浪には会心の一打。日本一の勲章を手に入れる日も、そう遠くはないはずだ。 (渋谷真)



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