関空、冠水で孤立「帰れない」3000人足止め
非常に強い勢力で上陸した台風21号は4日、四国、近畿地方を縦断し、強風や高潮で各地に甚大な爪痕を残した。大阪府や滋賀県などでは死者が出たほか、大阪湾に浮かぶ関西空港は未曽有の冠水に見舞われ、空港島では旅行客ら約3000人が孤立。関東でも終日交通が乱れた。
「旅行会社にも連絡がつかず、帰ることもできない」。沖縄へ旅行に出かけるため4日未明から空港にいるという神戸市垂水区の大学2年生(20)は、「孤島」となったターミナルビルで頭を抱えた。
関空ではこの日、韓国便など一部は予定通り発着し、約3000人の利用客らがいたが、風雨が強まった正午頃に2本ある滑走路がいずれも閉鎖。陸地と結ぶ関空連絡橋(全長3・8キロ)も潮位の上昇で通行止めとなり、島外への移動手段を断たれた。携帯電話もつながりにくい状態となった。
その後、高潮で海水が護岸を乗り越え、地下の機械室に海水が流れ込み、午後1時半頃から空港内が次々と停電。ターミナルビルは真っ暗になり、空調も止まった。飲食店は営業を取りやめ、コンビニには利用者が長蛇の列をつくった。停電は夜も続き、利用客らには備蓄用の飲料水や乾パンが配られた。
停電になったほぼ同時刻、付近で停泊中だったタンカーが風に流され関空連絡橋に衝突。橋に食い込んで道路が大きくゆがんだ。下部や中央にはJR関西空港線と南海空港線も走っているが、詳しい被害状況はわかっておらず、西日本高速道路は「通行止め解除の見通しは立っていない」とする。
運輸安全委員会はタンカー衝突事故の調査のため、5日、事故調査官3人を現地に派遣する。