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    関空、冠水で孤立「帰れない」3000人足止め

    • 滝のようにビル地下階に流れ込む水(4日午後2時40分、関西空港で)=上羽宏幸撮影
      滝のようにビル地下階に流れ込む水(4日午後2時40分、関西空港で)=上羽宏幸撮影
    • 冠水した関西空港。奥に見える第1ターミナルビルも地下が浸水した(4日午後6時18分、読売ヘリから)=永尾泰史撮影
      冠水した関西空港。奥に見える第1ターミナルビルも地下が浸水した(4日午後6時18分、読売ヘリから)=永尾泰史撮影
    • 停電の中、備蓄しているビスケットや飲料水を利用客に配る空港関係者ら(4日午後7時16分、関西空港で)
      停電の中、備蓄しているビスケットや飲料水を利用客に配る空港関係者ら(4日午後7時16分、関西空港で)

     非常に強い勢力で上陸した台風21号は4日、四国、近畿地方を縦断し、強風や高潮で各地に甚大な爪痕を残した。大阪府や滋賀県などでは死者が出たほか、大阪湾に浮かぶ関西空港は未曽有の冠水に見舞われ、空港島では旅行客ら約3000人が孤立。関東でも終日交通が乱れた。

     「旅行会社にも連絡がつかず、帰ることもできない」。沖縄へ旅行に出かけるため4日未明から空港にいるという神戸市垂水区の大学2年生(20)は、「孤島」となったターミナルビルで頭を抱えた。

     関空ではこの日、韓国便など一部は予定通り発着し、約3000人の利用客らがいたが、風雨が強まった正午頃に2本ある滑走路がいずれも閉鎖。陸地と結ぶ関空連絡橋(全長3・8キロ)も潮位の上昇で通行止めとなり、島外への移動手段を断たれた。携帯電話もつながりにくい状態となった。

     その後、高潮で海水が護岸を乗り越え、地下の機械室に海水が流れ込み、午後1時半頃から空港内が次々と停電。ターミナルビルは真っ暗になり、空調も止まった。飲食店は営業を取りやめ、コンビニには利用者が長蛇の列をつくった。停電は夜も続き、利用客らには備蓄用の飲料水や乾パンが配られた。

     停電になったほぼ同時刻、付近で停泊中だったタンカーが風に流され関空連絡橋に衝突。橋に食い込んで道路が大きくゆがんだ。下部や中央にはJR関西空港線と南海空港線も走っているが、詳しい被害状況はわかっておらず、西日本高速道路は「通行止め解除の見通しは立っていない」とする。

     運輸安全委員会はタンカー衝突事故の調査のため、5日、事故調査官3人を現地に派遣する。

    2018年09月05日 02時33分 Copyright © The Yomiuri Shimbun
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