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アジア情報室通報 第3巻第1号(2005年3月)

朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人口(レファレンス事例紹介)

北朝鮮の総人口、主要都市・道の人口および人口密度については、北朝鮮公表値のほか、国連推計、韓国推計等があり、そのため資料により掲載統計の種類と年代も様々です。そこで、北朝鮮の統計が掲載されている日本語と朝鮮語の主な資料について、その統計の出所等を簡単に紹介します。なお、資料の書誌事項は最後にまとめて掲載し、文中では資料リストの番号で記述します。

北朝鮮では、今までに一度しか人口センサスを行なっていません。このセンサスは、1993 年12 月31 日を基準時点として、1994 年1 月3 日~15 日にかけて行なわれました(以後、「1993 センサス」)が、調査の対象からは、労働党幹部と軍人が除かれています。また、人口センサスを行なうに先立ち、国連人口基金(UNFPA)の技術的・財政的援助を受け始めた北朝鮮は、1989 年、UNFPA に対し1946-1987 年の人口資料および社会指標などを提出しています。しかし、1993 センサス以外の北朝鮮の人口統計は、主に登録人口調査によるものであり、⑥若林「人口問題」によると1970 年以降は、やはり軍人を除いた数値となります。なお、同資料の文末には、朝鮮中央統計局の国連円卓会議提出資料の中から、軍人を含む1960-1990年の概算値を掲載しています。

登録人口調査統計は、軍人除外の点以外にも、移住による重複カウント等の問題点が指摘されていますが、⑨文「登録人口調査」所載の北朝鮮社会科学院人口社会経済研究室の説明では、1993 センサス以降の登録人口調査統計は、国家中央統計局に設置された人口統計部の専門スタッフによって集計されており、朝鮮労働党の一部の幹部と軍部をも含めた数字であるそうです。

<全体の人口>

北朝鮮公表値

北朝鮮は⑩「朝鮮中央」に、毎年総人口数を公表している。ただし、2002年版掲載データが1999年の値であるように、数年のタイムラグがある。また、北朝鮮が発表したデータ1946-2000年(数年おき)を⑤「現況」で一覧できる。

国連推計値

②「世界」は、1993センサスの値と1995、2000年の国連推計を掲載。また、同資料1997年版には、1948-1997年の50年間の統計が掲載されている。④「予測」では、1950-2050年の5年および10年毎の推計値を知ることができる。ただし、1996年版までは登録人口調査資料に、1998年版以降は1993センサス資料に基づいた推計である。

韓国推計値

⑤「現況」に1970-2002年分の統計が、⑪「総覧」の[経済篇]には1965-1991年分が掲載されている。また、韓国の統計情報システム⑫では、1970-2003 年までの総人口を見ることができる。

その他

①「ARC」は、1990-2004 年の統計のうち、1997-1999年は朝鮮中央年鑑、2002 年は国際連合食糧農業機関(FAO)、2004 年はアメリカ中央情報局(CIA)、それ以外は国連の推計値を掲載。出所が異なるため、このまま時系列的な比較はできないが、最新の推計値を調べるには有用。また、⑤「現況」には、2003 年CIA 推計値が掲載されている。

<主要都市・道の人口と人口密度>

1993 センサスデータのうち、首都および人口10 万人以上の12 都市の人口が、②「世界」に掲載されている(都市名はアルファベット表記)。そのうち、恵山市(Hyesan)以外の11 都市については③「データブック」にも掲載されているが、平壌のみ1999 年のデータである(都市名は漢字とカタカナ表記)。また、⑥若林「人口問題」には、地域別(平壌、南浦、開城の3都市と、平安南道、平安北道、慈江道、黄海南道、黄海北道、江原道、咸鏡南道、咸鏡北道、両江道の9道)の人口と人口密度の表がある。

⑪「総覧」には、さらに多くの都市の推計人口数が掲載されている。[総観篇]には道・市・郡までの人口と面積の表があり、人口密度を求めることができる。出所および基準年は不明であるが、同資料の他の統計と比較すると1992年の統計であると思われる。 [経済篇]には、1990、1991年の地域別人口と主要都市別人口(16 都市)の2 表、 [社会篇]には地域別の1994-2000 年の推計人口表があるほか、本文中に1992 年の地域別人口密度について記述されている。

また、1999 年の地域別人口(韓国推計)が⑤「現況」に、1987 年末の地域別人口および人口密度(北朝鮮公表値)が⑦三満「人口統計」に収載されている。

●日本語資料(< >内は当館請求記号)

①『北朝鮮(ARC レポート)』2004(世界経済情報サービス)<Z41-B238>

②『世界人口年鑑』2000(国際連合統計局原著編集、原書房)<Z41-125>

③『データブック・オブ・ザ・ワールド』2004(二宮書店)<Z41-5933>

④『国際連合世界人口予測 : 1950~2050』(国際連合経済社会情報・政策分析局人口部編、原書房、1996.5)<DT211-G1>

⑤『北朝鮮の現況:重要基本資料集』2004(ラヂオプレス編、RPプリンティング)<GE138-H51>

⑥若林敬子「北朝鮮の人口問題」『北朝鮮の経済と貿易の展望 』1998年版<Z41-2002>

⑦三満照敏「朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の人口統計」『レファレンス』41巻7号1991.7<Z22-554>

⑧文浩一「現地報告 朝鮮民主主義人民共和国における人口調査と研究事情 」『アジア経済』43巻4号2002.4<Z3-65>

⑨文浩一「朝鮮民主主義人民共和国-登録人口調査と1993 年人口センサス」『アジ研ワールド・トレンド』10巻12号2004. 12 <Z3-B391>

●朝鮮語資料

⑩『조선중앙년감(朝鮮中央年鑑)』2002(조선중앙통신사)<Z42-AK5>

⑪『北韓総覧:1983-1993』(北韓研究所、1994)<GE138-K20>

●韓国インターネットサイト

⑫KOSIS(統計情報システム)韓国統計庁(http://kosis.nso.go.kr/)[last access:2005.2.18]

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