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火山についてのQ&A

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「Q&A火山噴火」

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Question #3193
Q この前父と群馬県の白根山に行ってきたのですが、湯釜はどうして酸性が強いのですか?sれで、どうしてエメラルドグリーンになったんですか?山肌が白いのはなぜですか? (11/04/02)

あやか:中学生:14

A
 湯釜が強酸性なのは,湯釜の底から熱水が湧いていて,それに塩酸(HCl),硫酸 (H2SO4)などが含まれるためです.これらの酸は,もともとマグマから発生した HClガス,SO2ガスが湯釜の地下で地下水に溶け込みできたものです.
 色がエメラルドグリーンなのは,湯釜の湖水に鉄イオンがとけていて,さらに硫黄 やいろいろな鉱物の微粒子が縣濁(ただよっていること)しているためだと思われま す.実際に湯釜の水を汲んで,光にすかしてみてもエメラルドグリーンではありませ ん.太陽光が湖水に入射するときに鉄イオンや微粒子の影響で「エメラルドグリーン の光」が反射して,われわれがその色を感じているのだと思います.これは海水が実 際には青い水ではないのに,天気が良いときは海が青くみえるのと同じ原理です.
 山肌が白いのは,草津白根山の噴火の際に地表に放出され降り積もった火山灰が白 っぽいためです.草津白根山の火山灰は,酸性の水と反応した岩石で構成されていま す.岩石は酸性の水に接していると,岩石に含まれている金属イオンが水に奪われ て,残りの岩石はシリカ(SiO2)の割合が増えます.シリカは白いので,岩石が酸性 の水と反応すると岩石は白っぽくなります.実はこれ以外にも複雑な現象がからんで いるのですが,概略としてはこのようなことです.地下で酸性の水と反応した岩石 が,噴火で地表に降り積もり山肌が白くなりました.
 (11/05/02)

大場 武(東京工業大学・火山流体研究センター) --


May 2005. The Volcanological Society of Japan.  kazan@khaki.plala.or.jp