沙石集
『沙石集(しゃせきしゅう)』 安蘇沼(あそぬま)のおしどり説話


おしどり塚(佐野市)

鎌倉時代(かまくらじだい)の説話集である『沙石集』の巻9の14話「鶏の子を殺して報ひたる事」に、安蘇沼のおしどり説話があります。

下野国(しもつけのくに)の安蘇沼の近くに住む猟師が、雄のおしどりを殺したところ、夢に女が現れて、「どうして夫を殺したのですか、私はさびしくて生きていけません」とうったえました。
翌朝、つがいのおしどりが死んでいるのを見た猟師は、出家しておしどりをとむらったという話です。

安蘇沼は、佐野市(さのし)浅沼町(あさぬまちょう)あたりとされ、八幡神社(はちまんじんじゃ)にはおしどり塚の歌碑があります。
この伝説は日本の各地にあり、類似の話は小泉八雲(こいずみやくも)(ラフカディオ・ハーン)の『怪談(かいだん)』にもあります。