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【10分でわかる】漫画家・海野つなみさんレビュー!『おちょやん』前半ダイジェスト

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漫画家・海野つなみさんレビュー!10分でわかる おちょやん 前半ダイジェスト

昨年より放送中の連続テレビ小説『おちょやん』。杉咲花さん演じるヒロイン・竹井千代が女優の道を生き抜く物語です。3月8日からの後半スタートにあたり、前半のストーリーをギュッとまとめました。さらに今回、毎日『おちょやん』を見てくださっている、「逃げるは恥だが役に立つ」の著者、漫画家・海野つなみさんよりレビューもいただきました!

~海野つなみさんより、
レビューにあたって~

実家にいた時から朝はいつも流れていた連続テレビ小説、通称"朝ドラ"。離れていた時期もあったけれどまた見るようになって、今ではすっかり朝の習慣になりました。朝ドラが面白いと、毎朝が楽しみになります。SNSで感想を言ってみたり、誰かの感想を読んで気づかなかったことに気づいたり、今はそういう楽しさもありますね。 私はもともと、役者としての杉咲花さんが好きだったので、今期の『おちょやん』も発表を聞いた時から楽しみにしていましたが、期待以上の面白さ! 千代ちゃんの泣き笑いの大冒険を、最後まで皆さんと一緒に楽しみたいなと思っています。

第1部

千代VS.継母! 追い出しバトル編 (1週)

千代VS.継母! 追い出しバトル 編 大正5年。物語のヒロイン・竹井千代(毎田暖乃)は早くに母をなくし、父・テルヲ(トータス松本)、弟のヨシヲ(荒田陽向)と、大阪・南河内の小さい村で極貧生活中。心の支えはかわいい弟と、母の形見のビー玉。千代はしんどいことがあるとお月さまにビー玉をかざして「明日もきっと晴れやな」と自分を鼓舞し、なりわいの養鶏や家事をこなしながら家を守っておりました。若干9歳にして、口もめちゃめちゃ達者!近所のおっちゃんに「かわいそう」と情けをかけられても、「うちはかわいそやない」とつっぱねて、ふるまわれたごはんを断る気丈な子です。 ある日、父・テルヲが「お前のお母ちゃんや! 」と連れてきたのは若くてキレイな女性、栗子(宮澤エマ)。驚きの展開にも千代は、「これで学校に行ける〜! 」と大喜び。ところが、栗子はヨシヲの世話も家事も千代にまかせ、なーんにもしません。テルヲもそんな栗子になにも言わない始末で、千代は怒り心頭。さらに栗子&テルヲが千代らを奉公に出そうとしていることを千代が盗み聞き、千代VS.継母・栗子の追い出しバトルがスタート! そのうちに、栗子のおなかに赤ちゃんがいると知った千代は、栗子に「ヨシヲの面倒だけはみてあげて」と土下座して頼み、自分だけ奉公に出ると決心...。家族と離れる日、テルヲに「うちは、捨てられたんやない。うちがあんたらを捨てたんや! 」と言い放ち、奉公へと旅立ちます。

 海野つなみさん 第2部レビュー   第1部の魅力は、何といっても子役ちゃんたち! 子ども時代の千代を演じた毎田暖乃ちゃんの、たくましさと素直さと利発さが同居した魅力。また、弟のヨシヲもすごくかわいくて、視聴者も見てて守ってあげたくなるんですよね。
  一方、ダメ親父テルヲや何もしない継母の栗子といったあかんたれの大人も描かれるんですが、役者さんの魅力と脚本のせいか、見ていてこれまた嫌いになりきれない。かといって「悪いやつだけどええとこもあるから堪忍してや」みたいな描き方もしない。そういう、本人的には解決しているようだけど見ていて心に引っかかる、微妙なモヤモヤみたいなものが、この先もくり返し描かれているような気がします。色がパキッと分かれているんじゃなくて、水彩画のようににじんでいるのがこの作品の魅力でもあるなあと思いました。

第2部

道頓堀 お茶子と、家族と、義理人情 編 (2週〜4週)

道頓堀 お茶子と、家族と、義理人情 編 千代の奉公先は、芝居の街・道頓堀にある、芝居茶屋「岡安」。千代は岡安の女将(おかみ)・岡田シズ(篠原涼子)のもと、「おちょやん」(女中見習い)として懸命に働きます。仕事中、たまたま目にした女優・高城百合子(井川遥)のお芝居に圧倒されます。そんな折、千代は岡安を常宿にしていた「天海天海一座」の座長の子、天海一平(中須翔真)とお互いに「父親が嫌い」「学校に行けない」同士で親友?(千代が勝手にそう思っている...)に。さらに、父・テルヲたちが借金取りから逃れるために夜逃げしたとの知らせも入ります。ある晩、一平の父が急死。葬儀後、川辺で会った千代と一平は親への本音をぶつけあいます。 8年後、17歳の千代(杉咲花)はすっかり一人前の「お茶子」さん! 芝居好きにもなった千代は、仕事の合間をぬってお芝居をのぞき見する日々。奉公終了が近づきますが、よく考えた末にこれからも岡安で働きたいとシズに伝えます。が、そこに行方不明だった父・テルヲが道頓堀襲来...! 千代はテルヲの借金返済のために身売りされそうに...。一平やシズ、岡安みんなのおかげでどうにか借金取りから走り逃れた千代。シズからの「これからは自分のために生きますのや、生きてええのや」という言葉を胸に刻み、自分の道を歩むため、道頓堀とお別れします。

 海野つなみさん 第2部レビュー   第2部は、舞台変わって道頓堀へ。子どもながらアウェーの中で頑張り、友達を作り、居場所もでき、もっと子役ちゃんを見たかったな〜と別れを惜しみつつ杉咲さんにバトンタッチ。 とはいえ、こっちはこっちで待ってました! そして、"クズヲ"ことテルヲ再び。ただのどうしようもない男ではなく、愛きょうもある愛情もある、その一方で娘を自分の所有物ととらえて搾取しようとする姿にゾッとしました。私もかつて父に勝手に私あての郵便物を開けられ、抗議すると「親が子どもの郵便物を開けて何が悪い!」と言われたことがあったんですけど、そういう、 親の子どもに対する所有の気持ちを思い出したり。
  一方で、岡安のみならず道頓堀の皆さんの優しさにじーんとしました。家族はあてにならなくても、ちゃんと味方がいてくれる。最後は、子役時代と同じく、道頓堀編の皆さんとお別れするのがすごく寂しく名残惜しかったです。

第3部

京都 女優という仕事も、あなたも、好きになれてよかった 編
(5週〜8週)

京都 女優という仕事も、あなたも、好きになれてよかった 編 道頓堀をあとにした千代は、京都で「カフェーキネマ」という店の女給に転身。活動写真好きや女優志望の仲間に囲まれて、女給として働くかたわら、自分も女優を目指します! 超超超厳しい山村千鳥一座の女座長・山村千鳥(若村麻由美)から芝居のいろはを叩きこまれ、その後「鶴亀撮影所」で所長・片金平八(六角精児)による入所テストに合格した千代は、活動写真の世界へ。ある日、恋のお芝居がド下手と怒られ、役作りのために助監督の小暮真治(若葉竜也)とデートします。優しくって誠実で、ちょっとどんくさいのがかわいい小暮さんに、千代のときめきは制御不能! だけど、小暮さんは女優の高城百合子(井川遥)さんに片思い中...。恋の切なさを知った千代は、女優として一歩前進したのでした。そして、3年後。中堅女優として頑張る千代のもとに、またまた父・テルヲが...! 借金の返済に困り、千代の通帳と印鑑を狙って来たのです。いつかまた家族3人で暮らせたらと、ひそかに夢見ていた千代でしたが、もううんざり。「金の切れ目が縁の切れ目や! 」と持っているお金をすべて渡し、テルヲを追い出しました。一方、自分の仕事が軌道に乗らず、東京の実家に帰ることになった小暮さん。千代に「いつのまにか好きになっていた。僕と結婚してください」とプロポーズ! でも、「女優を続けたい。一緒に行くことはできない」と千代はお断りします。そして、鶴亀株式会社社長・大山鶴蔵(中村鴈治郎)の鶴の一声で、新しく旗揚げする喜劇一座へ舞台女優として入るように命じられ、再び道頓堀へ!

 海野つなみさん 第3部レビュー   次の舞台は京都、またもアウェーの中、カフェーの女給から活動写真の女優へ。高城百合子さんに山村千鳥さんという強烈な師匠たち。そして初恋。くせ者ぞろいの男たちの中、真面目で優しい小暮さんに恋する気持ちもわかりますが、私的には片金所長推しでした。さらに、視聴者を騒然とさせたザ・クズモンスター、テルヲの再襲来! いいところはあるのだけれど、娘への愛情はあるのだろうけど、もはや依存症です。こうなってはもう、個人の手には負えません。
  父といい小暮さんといい、情を断ち切って共依存からはちゃんと距離をとる千代ちゃん。それでええ、それでええんやで~。京都編の皆さんも魅力的で、別れるのがまたも名残惜しかったけど、次で再び道頓堀のみんなに会えるのがうれしかったです。

第4部

道頓堀 ひとりやあれへん
~千代&一平ソウルメイトすぎて(涙)~ 編 (9週〜13週)

道頓堀 ひとりやあれへん~千代&一平ソウルメイトすぎて(涙)~ 編 懐かしの道頓堀に「喜劇女優」として戻ってきた千代。新しい一座の座長は、なんと一平(成田凌)でした! 最初は参加しないとかたくなだった喜劇界のアドリブ王・須賀廼家千之助(星田英利)も、一平のアツい思いに心動かされて加勢。子どもから大人まで、芝居を通じて生きる力や笑いを届けたいと一平が一座につけた名前は「鶴亀家庭劇」。千之助さんの本番中に始まるアドリブ劇に始まり、最初はバラバラだった個性派座員たちの足並みも次第にそろって、鶴亀家庭劇の人気も上昇。千之助さんは、一平の書いた脚本「母に捧ぐる記」を一平が望む以上のものに書き換えるなど常に一平の壁となって立ちはだかりますが、そんな千之助さんから、一平は多くのことを学びます。「鶴亀家庭劇」がまい進する中、千代がずっと再会を願っていた弟・ヨシヲ(倉悠貴)が道頓堀へやってきます! ところが喜んだのもつかの間、ヨシヲはヤクザの下っ端になっていて、鶴亀を潰すための情報を引き出す目的で千代に近づいたのでした。ショックを受けながらも、更生するように深い愛でヨシヲを説得する千代。でしたが、長年の心の溝は埋められず、ヨシヲは去っていきました...。「またひとりぼっちになってしまった」と泣く千代を抱きしめたのは、小さい頃から千代を見てきた一平。「二代目・天海天海」襲名披露の場で千代との結婚を宣言し、一平と千代は夫婦としての道を歩きはじめます!

 海野つなみさん 第4部レビュー   舞台は道頓堀に戻り、とにかく盛りだくさんだった第4部。またもアウェーからのスタート、立ちはだかる大きな壁・千之助、みつえの結婚、弟との再会と別れ、キスに告白、明らかになる一平の両親のてん末、そして結婚宣言。後半はもう、涙、涙...。ひょうひょうとしてつかみどころがなかった一平も、ここに来てぐっと人間味が出て魅力が輝きました。うなったのが、最後の最後ですべてがつながる見事な脚本です! 千之助が一平が書いた「母に捧ぐる記」を全ボツにして「マットン婆さん」にしたのはそういうことか! 一平のために亡き父が書いたのが最初に出てきたあの一平棒読みの幽霊の話! そして、いまいちピンとこないなーと思っていた、一平がやりたかった芝居とは。それぞれの話はまとまったけど見ていてなんとなくモヤっと心に残っていたものが、ここですべて結晶化するというか。
  千代と一平だけでなく、それぞれの思いが泣き笑いのエピソードでつながる、前半のまとめにふさわしい見事な週でした。お見事お見事! 千之助さんのアドリブ舞台劇もさすが本職、すごかったです~。

「おちょやん」後半、ここが楽しみ!

  千代ちゃんて、いつもアウェーからのスタートなんですよね。自分のやるべきことがよくわからない、周りも冷たい、自分なりにやってみると失敗して怒られる。それでも、自分がそこでできることは何か考え、他人を助け、そうやって自分で居場所を作って、いつの間にか仲間ができている。今、居場所がないとか失敗して怒られてばかりという若い人も、見ていて元気をもらえるドラマだと思います。
  千代を演じる杉咲花さんも、明るく感情的なお芝居もありながら芯の強さ、それも、ただ強いんじゃなくて震えながら立っているような弱さと強さが同居するお芝居をされていて、本当にいい役者さんだな~と感心します。
  後半はご自身の年齢以上の役になってくるだろうし、時代も大きく動いていくと思うので、どんな風に演じられるのか、そちらもすごく楽しみです。もちろん、舞台が変わるごとに毎回名残惜しくなる、魅力的な周りの面々も!オープニングやちょいちょい挟まれるイラストもたまらなくかわいくて大好きです。これからも引き続き、毎朝『おちょやん』を心待ちにしたいと思います。視聴者のはらわたを煮え繰り返させたテルヲも再登場とのことで、それもドキドキ...。

後半(第14週~)は3月8日(月)より放送  舞台は千代&一平の結婚から3年後のおはなしです。連続テレビ小説『おちょやん』は、5月14日まで続きます! 放送日時 最終回は、5月14日(金)です!

【総合】
(月~土)午前8時
[再]午後0時45分

【BSプレミアム・BS4K】
(月~土)午前7時30分
[再](月~金)午後11時 ほか

▶ 土曜日は1週分放送をまとめた振り返り放送!
毎日のご視聴が難しい方におすすめです。
最終回翌日の5月15日(土)は、23週を振り返ります。

▶ 「NHKプラス」でも、放送後1週間ご視聴いただけます。