NHKアナウンス室

アナウンサー仕事の流儀

バックナンバー↓

インタビュー 上原光紀

最終走者として、情報を届ける。
11/5
スポーツが大好き。
  • 子どものころ夢中になっていたことはありますか?

    幼いころから好奇心が旺盛で、いろいろなことに興味をもっていました。
    小学生の時は水泳教室に通っていたのですが、ある程度泳げるようになったところでアーティスティックスイミングを始めました。そして、中学生になると、「袴姿がかっこいい」、「動物と触れ合える」、という理由から弓道部と馬術部に。
    さらに高校では、大勢で1つの曲を奏でるオーケストラに興味が湧き、コントラバスを弾いていました。何かひとつのことを極めるというより、幅広く好奇心のおもむくままに挑戦していました。

  • 大学では何に打ち込んだのですか?

    4年間、フィールドホッケー部でほとんどの時間を過ごしました。朝から練習して、その後急いでシャワーを浴びて、スウエット姿で授業に出て。夏は合宿もあったので、いつも真っ黒に日焼けしていました(笑)。雨の日も雪の日もグラウンドで過ごした大学時代は、華やかなキャンパスライフとはほど遠いものでしたが、最高に楽しかったです。

  • 就職活動には、どう取り組みましたか?

    「おもしろそう!」と思った企業にエントリーシートを出して、その中に放送局もありました。これまでにアーティスティックスイミングや弓道、乗馬やフィールドホッケーと、様々なスポーツに取り組んできた中で、その魅力や頑張っている選手に、もっとスポットライトを当てる番組を作りたいと考えたんです。

  • そんな中、どうしてアナウンサーを志望したのですか?

    NHKの面接で「アナウンサーも、自ら取材をしたり番組の企画を考えたりできる」、そして「最終的に自分の言葉で伝えることもできる」と聞いて、「やってみたい!」と。アナウンサーになるための勉強をしていない自分で大丈夫か?という不安もありましたが、「おもしろそう!」と思うと、考えるよりも先に行動しちゃうんです(笑)。今はあのときの自分の「おもしろそう!」という素直な気持ちに従って大正解だったと思っています。

11/11
新人時代の思い出。
  • 新人時代のことを教えてください。

    初任地は新潟で、はじめはカメラに向かって自分が一方的に話すことを不自然に感じていました。まだ、カメラの向こうにいる視聴者のみなさんを想像できていなかったんです。その上、私は「アナウンサーは常に真面目な表情をして、カメラをまっすぐ見続けて話すものだ!」と思い込んでいたので、余計に不自然になって・・・。「しゃべっている顔が怖い」と言われていました(笑)。

  • それがどう変わったのですか?

    取材などで地元の方と接するようになって、「そうか、私はこの人たちに伝えるためにニュースを読めばいいんだ」と思えるようになったんです。すると、カメラの向こうに皆さんの顔が浮かんできて、語りかけるつもりで伝えると表情も柔らかくなったし、ニュースの内容によって、喜怒哀楽を表現できるようになった気がします。

  • 2局目の広島では、どんな仕事が印象に残っていますか?

    被爆体験の伝承活動を続けている男性へのインタビューです。その男性は当時80代後半で、体調を崩されることも多かったのですが、自身の体験を通して戦争や核兵器の怖さと悲惨さを伝えたいと、取材に応じてくださいました。 何度も会って話を聞かせていただいたのですが、ある時「原爆で大勢の同級生が亡くなったのに、自分だけ生き残ってしまった。自分だけ助かってしまって、本当に申し訳ない」と涙を流しながら語られたんです。その涙を見て、私は大きなショックを受けました。その男性が、戦後70年間、ずっと自分自身を責めながら生きてきたのだと知ったからです。自分の命が助かったことを、喜ぶのではなく、悔いていたんです。

  • その取材を通して、どんなことを感じましたか?

    何ひとつ悪くない一市民にそんな思いをさせる戦争は本当にむごいもので、絶対に二度とあってはならない。だからこそ、戦争を体験した方々が減っていくなかで、今、私たちが事実をしっかりと聴き取って、次の世代に伝えていかなければならないのだと強く思いました。放送後、その男性は「いいインタビューをしてくれて、ありがとう」と言ってくださいました。それが本当にうれしかったことを、いまも覚えています。

11/18
刺激的な毎日です。
  • 『ニュース7』には、どのような気持ちでのぞんでいますか?

    「一歩先へ、一歩深く」というコンセプトのもと、ニュース制作チームが総力を挙げて作っている番組です。どこよりも新しい情報を、より深く掘り下げて、分かりやすくお伝えしたいと思っています。
    だから、コメントの一言一句を精査して、そのニュースのもつ意味や影響をしっかりと考えてお伝えすることを心がけています。

  • 4月から番組を担当して、どんなことを感じていますか?

    毎日が刺激的だし、勉強することばかりです。
    報道番組なのでスピーディな対応が求められます。事件や事故が起きたら、みんなが一斉に動きはじめます。情報を収集したり、現場に直行したり・・・。今はそのスピードに必死に食らいついているという感じです。

  • 番組を一緒に担当している先輩アナウンサーは、どんな存在ですか?

    瀧川アナウンサーは、いつも冷静で、信頼されています。突発的なニュースが飛び込んできて、原稿が手元にないまま放送が始まることもよくあるのですが、そんなときも「落ち着いていこう」と声をかけてくれます。瀧川さんには、どんな状況でも「大丈夫だ」とみんなに思わせてくれる安心感があります。
    高井アナウンサーには、ずば抜けた取材力、リポート力があると思います。どんな現場でも情報の中心にたどり着き、取材先の方々に寄り添いながら最善の伝え方を模索しています。
    私は、そんな先輩2人の背中を追いかける日々です。
    自分が成長できる環境がある『ニュース7』の一員になれたことを、いま、本当に感謝しています。

11/25
大切なのは楽しむこと
  • 趣味はありますか?

    最近、ゴルフをはじめました。大学時代に打ち込んだフィールドホッケーにスイングが似ているので、上達が早いのかなと勝手に思っています(笑)。
    今までいろいろなことに取り組むたびに発見した楽しさや経験をゴルフにも生かして、長く楽しみたいと思っています。
    それと機会があれば、バンジージャンプとパラグライダーに挑戦してみたいですね。スリルのあることが好きなんです(笑)。

  • 今後、担当してみたい番組はありますか?

    いつかラジオ番組の『子ども科学電話相談』を担当してみたいです。これは子どもたちが電話やメールで寄せてくれる素朴な疑問に、各分野の専門家が分かりやすく答える番組で、その司会を担当したいんです。子供たちの純粋な好奇心から生まれた疑問に、大人としてハッとさせられることも多く、リスナーの1人としても楽しみにしている番組です。

  • 番組のどんなところに魅力を感じていますか?

    アナウンサーとして大きなやりがいがある仕事だと思います。
    子どもたちが先生の回答を本当に理解できたか、納得できたかを、その子の気持ちに寄り添って判断しながら番組を進行するなど、熟練したスキルが求められます。だから、これからいろいろな経験をして、スキルや知識を蓄えていきたいと思っています。

  • 最後に、アナウンサーを目指している人たちにどんなことを伝えたいですか?

    何か好きなこと、得意なことがある人は是非それを突き詰めて欲しいし、何か新しいことに興味を持ったら、勇気をもってその世界に飛び込んで欲しいです。
    きっと、飛び込んだ先で新しい発見があるし、新しい人との出会いもある。
    その経験が、アナウンサーになってからも必ず役に立つと思います。

    ありがとうございました。

ページトップへ↑