強制徴用被害者ら 韓国政府に無償提供資金返還と補償求め提訴

【ソウル聯合ニュース】日本による植民地時代に強制徴用された労働者や遺族らでつくる「アジア太平洋戦争犠牲者韓国遺族会」は14日、ソウル市内で記者会見を開き、1965年の韓日請求権協定で日本から支払われた3億ドル(当時1080億円相当)の無償提供資金の被害者への返還と、1人当たり1億ウォン(約960万円)の補償を韓国政府に求める訴訟をソウル中央地裁に起こしたと明らかにした。

 原告は強制徴用被害者1人や死亡した被害者5人の遺族。近く、被害者3人が加わるという。

 遺族会は「請求権協定当時、日本から得た資金は徴兵・徴用で犠牲となった先祖の血と汗の代償として受け取った被害補償金」とした上で、「当時の朴正熙(パク・チョンヒ)政権は日本との交渉で補償金を被害者に個別に支給するとしたが、韓国の経済発展の元手として使った」と主張した。

 遺族会はこれまで日本政府や被害者を働かせた企業を相手取り、謝罪と賠償を求める訴訟を展開してきたが、日本の裁判所は同問題は請求権協定で解決済みで、韓国政府が責任を取るべきだとして棄却した。

 遺族会は「これからは韓国政府を相手取り、請求権資金の返還を求める訴訟を起こし、訴訟団1000人を集めて全国的に大規模な補償闘争や総決起を行う」と表明。請求権協定に深く関わった金鍾泌(キム・ジョンピル)元首相を出廷させ、資金の使用先などを証言させる考えを示した。

 一方、金元首相側は遺族会に対し、同氏の証言に基づいて作成した「韓日修交経緯書」を渡した。金元首相は経緯書で、「1960年代初め、韓国は世界の最貧困国だった」とし、「61年に革命政府が国家安保や経済再建を掲げて発足したが、国庫が底を突き、財源づくりのためには韓日会談の再開を通じた日本の請求権資金しかなかった」と釈明した。

 また、「請求権資金を元手に、韓国は半世紀で世界10位内の経済大国に発展し、恩恵を受けた企業は巨大な財閥級の企業に成長した」と説明。「政府と恩恵を受けた企業は歴史的・政治的・道義的な側面から強制動員被害者と遺族に相応の対策を取り、誠意のある支援をしなければならないということに共感する」とした。

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