以上, 電子部品業界における抵抗
溶接
のさまざまな応用例を列挙したが, その基本的な技術は主として米国において開発されたものであり, 日本国内ではまだ完全に確立された製造技術とはいいがたいものもあるのが現状であろう.しかしながら, その基本原理はあくまでもジュール熱の利用ということで, 特に新規性のあるものではなく, ただその応用技術にすぎない.したがって今後これらの技術を現場に適用し効果をあげるためには, まずその接合のメカニズムを理解し, 自社の要求仕様を勘案しつつ, それに基づく
溶接
設計, すなわち
溶接
性のよい材料の選択 (材質, 形状およびめっきなどの表面処理条件を含む), 適切な
溶接法および溶接
機器の選定を行ない, そのうえで最適
溶接
条件 (
溶接
電流, 通電時間, 加圧力, 電極の材質, 形状など) を設定するという手順をふんでゆけば, それほど大きな問題はないと考えられる.これまでの抵抗
溶接
の取入れ方が, 往々にして既設計の電子部品に対してほとんど手を加えずそのままの形で
溶接
を適用する二場合が多く, したがって種々問題があったと思われるが, 今後は前述のごとくまず電子部品の
溶接
設計から始めなければ, 効果的な抵抗
溶接
の利用が期待できないと思われる.その意味で, 電子部品の設計技術者の方々のいっそうの協力が望まれるところである.この点が解決できれば, 抵抗
溶接
の最も大きな特徴である量産性を生かした自動化への道もおのずと開け, さらに大きな効果が創り出されてくると思う.さらに
溶接
装置としては, 対象物となる電子部品は, ますます小形化され, 実装密度は向上し, さらにその接合点に対する信頼性はよりきびしいものが要求されることを考え,
溶接
電源としては, より精密な出力制御ができ, かつ各種の
溶接
波形が自在に出せるもの, また
溶接
ヘッドとしては, 小形・軽量で, 自動化に適するもの, さらに現在大きなネックとなっている電極材料の開発など, 問題は山積していると思われ, 今後の電子部品の発展とともに, これら問題点に対処する
溶接
装置のなおいっそうの性能の向上と多様化が望まれるところである.また
溶接
材料が微細であるということだけではなく, 二つの材料の形状比率が大きく (1 : 50以上), かつ異種材料であることも, 電子部品の接合にあたっての難問の一つであり, これに対していかにうまくヒート・バランスをとり,
溶接
点に熱集中を図るかということも
溶接
装置および利用技術の研究課題の一つであろう.さらに電子部品材料の特殊性を考慮した接合機構の本質的な研究を積極的に進めて, 品質管理機器, 特に
溶接
と同時にその品質を識別する機器を開発し,
溶接
システムとしての今後の発展に備える必要があると考える.
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