LS北見、競技断念危機から平昌 7年前チーム発起のマリリン「メンバーに感謝」

2017年9月11日7時0分  スポーツ報知
  • 平昌五輪出場権を獲得したLS北見の(左から)本橋、吉田夕、鈴木、吉田知、藤沢は、笑顔でポーズを取る(カメラ・酒井 悠一)
  • 勝利が決まり、歓喜の輪を作るLS北見の選手たち

 昨年の世界選手権2位のLS北見が、今年の日本選手権覇者の中部電力を9―5で下して3勝目を挙げ、初の五輪出場を決めた。今季から控えに回った本橋麻里(31)が中心になってチームが発足してから8年目。どん底からはい上がり栄冠をつかんだ。男子代表はSC軽井沢クに決まっており、98年の長野五輪以来となる5大会ぶりのアベック出場。平昌大会で日本勢初のメダルへと挑む。

 5人の目に喜びの涙が光った。LS北見の勝利に会場が沸く。試合終了後、メンバーは「麻里ちゃん!」と声を上げ、控えの本橋と強く抱き合った。円陣を組み、互いの頭を「よしよし」と何度もなでた。8年間、追い続けた五輪切符。10年にLS北見を結成した本橋は「集まってくれたメンバーに感謝したい。もっと愛されるチームにしていきたい」と涙をこらえるのが、精いっぱいだった。

 今年の日本選手権決勝で敗れた宿敵との代表決定戦。王手をかけ、挑んだ第4試合は、第1エンドに3点を奪い、流れをつかんだ。第7エンドには吉田知が、相手の石を同時に2つ、ハウス(円)外に弾き出す大技を見せ、不利な先攻で2点追加。吉田夕、鈴木はスイープ(掃く動作)で、絶妙な位置にストーン(石)を置き、得点チャンスを何度も作った。全員で五輪への1勝を挙げた。

 7年前「実業団ではない、地域とつながったチームにしたい」との本橋の思いで選手ゼロ、スポンサーゼロから始まった。知人や地元の関係者へのあいさつ回りの日々の中、選手にも声を掛けた。ソチ五輪出場後、北海道銀行を戦力外になり「もう、できない」と落ち込む吉田知を「代表を目指して、もう一回やろう」と説得。4年前、中部電力で五輪を逃し自信を失った藤沢と食事に行き「私たちは次に進んでいるよ」と励ました。

 創設時から支えた2人も順調な選手生活ではなかった。五輪に出場した姉・知那美と比較され「一度は腐った」と言う吉田夕。チームが「雑草」と言われた時期から五輪を目指し、誰よりもストイックに練習した鈴木。大一番を控えで見守った本橋は「集まった5色のカラー(個性)でチームをつくりあげたかった。それがいま生きている」と4人の成長に目を細めた。

 五輪まで残り5か月。「第1目標はクリアできたが、もっと上げていきたい」と本橋。自身初の五輪に挑む藤沢は「このチームで戦えて幸せ者。世界一の準備をして五輪に入る」と力を込めた。人口約5000人、小さな常呂町から、5人娘が世界に挑む。

(小林 玲花)

 ◆ロコ・ソラーレ北見 2010年8月、本橋麻里が発起人となりチームが誕生。16年2月の日本選手権で初優勝。同年の世界選手権で銀メダルを獲得した。メンバーは全員、北海道北見市出身。練習拠点は、アドヴィックス常呂カーリングホール。チーム名は「ローカル」と「常呂っ子」から「ロコ」を取り、イタリア語で太陽を意味する「ソラーレ」から由来する。

  • 楽天SocialNewsに投稿!
冬スポ
今日のスポーツ報知(東京版)