JR留辺蘂駅の無人化後の乗車券の販売体制について、JR北海道は4日、駅近くの商店に指定席往復割引券(Rきっぷ)を含む乗車券や定期券の受け渡し業務を委託する方針を固めた。駅外での指定席券の取り扱いは道内で初めて。減便や廃駅で石北線の運行体制の縮小が相次ぐ中、地域の声に応える新しい仕組みが実現する見通しになった。

 店は、留辺蘂駅から北に約200メートルの商店街にある坂口呉服店(坂口広典社長)。今年で創業70年で、介護用品も扱う。同駅無人化後の業務委託先を探していた北見市から打診を受け、「長年お世話になってきた地域の役に立てるなら」と受け入れた。JRは当初、Rきっぷの取り扱いには難色を示していたが、地域の需要が高いことから市が交渉を重ね、新たに仕組みをつくることになった。

 取り扱うのは《1》Rきっぷ《2》特急オホーツクの上下それぞれの始発と最終便の指定席が割引となる「札幌往復限定きっぷ」《3》定期券―の3種類。発券作業は北見駅で行うため、同店は利用を希望する客の予約を受け付けて北見駅に伝える。希望する指定席を確保できた場合は料金を受け取り、JRへ送金。後日北見駅から送られる乗車券を受け取り、客に渡す仕組みだ。

 同店は元日以外無休。乗車券の受け渡し業務は当面1週間サイクルで行い、水曜日までに同店に申し込んだ切符はその週の金曜日に届く仕組みとなる見込み。

 4日はJRや市の関係者が同店を訪れ、扱う乗車券の種類や、申し込みや受け渡しの手順について最終確認した。今月中に正式な契約を交わし、無人化後に受け渡し業務を行う予定。

 石北線では美幌駅も無人となり、美幌商工会議所がJRの委託を受けて普通乗車券や特急自由席券を販売することが決まっている。(権藤泉)