さよなら銀河団地ガガーリン(小原篤のアニマゲ丼)

有料記事小原篤のアニマゲ丼

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 「地球外少年少女」で磯光雄監督にギャフンと言わされた(1月24日の本欄「地球外少年少女と想定外中年男」参照)のを根に持ってるワケじゃありませんが、「宇宙には1960年代がよく似合う」とやっぱり言いたくなる作品に出会いました。25日から公開中の仏映画「GAGARINE/ガガーリン」です。舞台は現代のパリ郊外、60年代に建った実在の「ガガーリン団地」がそのまま「宇宙船」に見えてくる驚きの映像マジック。ただしSFじゃなくて、くすんだ過去とどん詰まりの現在を夢の未来に変貌(へんぼう)させる鮮烈な青春ドラマです。

 現実の風景を撮り方だけで「未来」に見せてしまう例は、パリ市街を撮ったゴダール監督の「アルファヴィル」があります。同作に影響を受けた実相寺昭雄監督の「ウルトラセブン」第43話「第四惑星の悪夢」は、横浜のたまプラーザ団地を未来というか異星の風景に見せました。団地は未来的なんですね。東京の首都高を未来都市の風景として撮ったのはタルコフスキー監督の「惑星ソラリス」。ありゃ、60~70年代の作品ばかり。また磯さんに「それは世代です」と言われてしまうかも……。

 でも「ガガーリン」の脚本・監督の2人、ファニー・リアタールさん(34)とジェレミー・トルイユさん(35)にインタビューで質問したらこうでした。「この作品を作るにあたり、『未知との遭遇』『惑星ソラリス』『2001年宇宙の旅』などSF映画の古典から大きな影響を受けました」。ほうらやっぱり「宇宙」と来たらこの時代ですよ!(←しつこい)

 主人公はアフリカ系の16歳…

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