本稿は,デジタル
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による国境や空間を超えた「支配」はなぜ強まるのかという問題意識から,観光経済の事例分析と,国際金融市場と政策的規制に注目した考察によって「支配」の空間的なメカニズムを提示した.
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による「支配」は,社会や企業への一方的なものではない.ユーザー企業は,デジタル
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をローカルな地理的空間における利潤追求のために利用し,その見返りにデータや資本,権力の一部をデジタル
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に提供する.デジタル
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はこれらの資源を,空間を超えて大量に集積させて影響力を強める.だが,それを問題視する国際政治のなかで,各国政府は自国経済の保護のためにデジタル
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への政策的規制を強めている.デジタル
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は国際金融市場からの投資に依存した不安定な存在でもあり,デジタル
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間の競合は激化している.その結果,政策的規制に対応しながら金融資本を獲得するために,デジタル
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はユーザーの「支配」を強めざるを得なくなっている.
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による「支配」は,空間を超える国際金融市場と,ローカルな地理的空間と結びついた政策的規制,およびユーザー企業の利潤追求の相互作用の結果である.持続的なデジタル社会の構築には,デジタル
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をめぐる国際金融市場の歪みや国際情勢の変化への対応が必要である.
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