六戸町、電子投票休止へ/投票機の更新困難

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2015年4月の六戸町議選で実際に使われた電子投票の端末(模擬投票用のデモ画面を表示し、投票日前に撮影)

 青森県六戸町の吉田豊町長は26日、県内で唯一、各種選挙に導入している「電子投票」を休止する意向を示した。全国的に普及が進まない中、町が投票機のリースを受けている「電子投票普及協業組合」(事務局・東京)が「機器の更新ができない」とするなど、投票機の調達が困難となっているため。

 電子投票は、開票作業の効率化や無効票解消につなげようと2002年に解禁された。六戸町は04年1月の町長選で初めて実施したのを皮切りに、16年1月の町議補選まで町長選で2回、町議選は補選を含め4回の計6回実施。次回は19年春の町議選で実施する予定だった。

 同町はタッチパネル式の投票機を40~50台導入している。開票に要した時間は15年4月の町議選が不在者投票分を含め23分(電子投票分のみだと6分)、16年1月の町議補選は14分(同4分)だった。町の担当者は「結果を迅速に伝え、疑問票や案分票もなく、民意が正確に反映できる」と説明する。

 だが電子投票を導入する自治体は少なく、総務省によると、16年1月の六戸町議補選を最後に、全国10自治体が延べ計25回実施したにとどまる。15年4月の統一地方選で実施したのは全国で六戸町だけだった。

 町は昨年12月、電子投票普及協業組合との電話で、機器更新が困難であることを確認。吉田町長は今年1月17日、総務省を訪れ、自治行政局の大泉淳一選挙部長に現況を伝えたという。

 26日の町議会全員協議会で吉田町長は「国の新たな方向性が定まっていない」などと経緯を説明。「暫時、休む方向にせざるを得ない」と述べた。

 町は今後、国に休止の方向性を伝達。電子投票実施のため03年に施行した条例の廃止や休止、凍結などを検討する。

【2018年2月26日(月)】

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