長谷川岳が語る「YOSAKOIソーラン祭り」と「政治」 後編
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06月03日(火) 10時55分
文:東 写真:東 |
「札幌の所得水準は10%くらい上げなければいけないと思っています」
明日から8日まで5日間、札幌の大通公園など約30会場を舞台に、第17回YOSAKOIソーラン祭りが開かれる。
高知県のよさこい祭りと北海道のソーラン節をミックスしたこの祭りは、多くの踊り子達が鳴子のリズムに合わせて独創的に舞う札幌の風物詩として、市民や観光客を魅了している。
学生時代に、この祭りを創設した長谷川岳氏(37)は、長らく務めてきたYOSAKOIソーラン祭り組織委員会専務理事を昨年退任、次期衆院選に北海道1区(札幌市中央区、南区、西区)から自民党公認候補として出馬する予定だ。
北海道1区は横路孝弘衆議院副議長の金城湯池。さらには自民党の杉村太蔵衆院議員(比例南関東ブロック)も、この選挙区からの出馬を目指している。
以下、長谷川氏が語る政治。
−−政治のことを伺います。長谷川さんは12年前の1996年、北海道1区から衆議院選挙に出馬しました。このときの経緯は。
長谷川 このときはすごく単純な話しです。全国の5人ぐらいの仲間で25歳になったら選挙に出ようと話していました。25歳、無所属で一番強いところ(激戦区)で戦うことを原理原則とし、いただいた被選挙権を行使しようと単純なことでした。
5人ぐらいで“無所属連合”をつくろうと話していましたが、メンバーは出馬できなかったり、出馬しても落選してしまいました。25歳のときは自分自身に対するチャレンジという思いが強かったと思います。
−−今回、北海道1区から自民党公認候補(自民党本部は長谷川氏を6月中に公認するとみられている)として、次期衆院選に立起することになった。再び選挙に挑むことになった理由はどのようなことだったのですか。
長谷川 YOSAKOIソーラン祭りは、昨年ちょうど15周年でしたが、この数年、道内各市町村の衰退がすごく気に掛かっていました。
YOSAKOIソーラン祭りは街を舞台にということで旗揚げしましたが、実際にはできた部分とできない部分がありました。近年の市町村の衰退を見るにあたって、YOSAKOIソーラン祭りとは異なるエネルギーというか、この状況を変えていきたいという思いが沸々とありました。
たまたま昨年10月にこのようなご縁をいただき、12月に候補者公募に応じました。12月27日、自民党道1区支部候補者選考委員会のみなさんに全員一致で推挙いただいた経過があります。
−−昨年10月のご縁というのは。
長谷川 政治の世界へという具体的な話になったのが昨年の10月でした。私の支援者でもある方々にご相談して、話しが進んで行きました。
−−長谷川さんは、長い間、民主党の荒井聰・前衆院議員の選挙を支援してきましたが、次期衆院選は自民党公認候補として出馬することになるはずです。
長谷川 荒井さんには1回目のYOSAKOIソーラン祭りのとき、道の知事室長として応援していただきました。(最初に)日本新党から出馬されるときからずっと応援させていただき、新党さきがけ、民主党と続いています。お世話になった荒井さんを応援させていただいたということです。
−−日本新党や民主党というよりも、YOSAKOIソーラン祭りの協力者だった荒井氏個人を応援してきたということですか。
長谷川 そうです。民主党をずっと応援してきたわけではなく、あくまでも荒井さん個人をです。
ただ、自分が自民党から出るにあたっては、どうしても民主党が対立政党になってしまうので、先般、荒井さんに(出馬の)話をさせていただき、仁義を切らせていただきました。
−−自民党道連は長谷川さんを北海道1区の公認候補として推薦しています。党本部の公認問題や1区からの出馬を検討している杉村太蔵衆院議員の件はどのように考えていますか。
長谷川 自民党道連の関係者から伺った時は「(公認は)近いうちでしょう」という推測をいただいています。
ただ自分自身はもう、きちんとした活動に入っていますし、公認を得る前にできる活動をすべてやっておきたいと思うので、いまはそれに専念しています。あまり巻き込まれることではないと思っています。太蔵さんも同じ世代ということもあるので、お互いが感情的な発言を一切していないことは、きちんとしたルールが働いていると考えています。
(選挙区内を)回っていて感じるのは、我々の年代や若い世代に対する期待感がないわけではないということです。この年代の政治家を増やしていくことが絶対に必要だと思います。そういう意味では太蔵さんも一緒にやっていけるような環境を(自民党が)調整していただければと思っています。
(杉村氏と)はっきり住み分けていることは、自分はいま与えられた北海道1区という中で全力を尽くすこと以外ないということです。「他の区」という選択肢を考える余裕はありません。それは私を選んでくれた党員のみなさん、特に選考委員のみなさんを含めた方々に非常に失礼な話になります。
−−いまの福田政権に対する評価は。
長谷川 そうですね。タフな政権ですよね。非常に難しい質問ですね。PRの点で、もっとわかりやすくすることが大切だと思います。
−−衆院選で当選し、代議士になった場合に取り組むことはどのような点ですか。
長谷川 北海道の場合は、東京と比べて30%くらい給与所得が低い。東京で暮らす場合のストレスや住居の狭さ、電車の込み具合などを差し引いても、私は札幌の所得水準は10%くらい上げなければいけないと思っています。
給与所得の問題はタブーであり、いままで誰も言わなかったと思いますが、間違いなく札幌で働く方々の所得は10%底上げしなければなりません。その際、半分は働いているみなさんに頑張っていただきたい。残る半分は経営者と政治の責任だと考えています。
なぜ、政治の責任かと言えば、北海道で北海道のマーケットを対象にした仕事だけをしていても、マーケットは広がらないためです。
そうすると中国やロシアに対するマーケットづくりが絶対必要になる。ところがいまの政治状況だと、中国やロシアに対するマーケットの開拓は、なかなかスムーズに行きません。国家と国家の間に信頼関係が結ばれていないと、ビジネスは発展しません。そういう意味では政治の責任です。経営者の方々も中国やロシアに行ってマーケット開拓しようという発想をもっていないと広がらないので頑張りましょう。
こうした理由から半分は政治と経営の責任ということを明確にしていきたい。給与所得の10%底上げは、賃上げとは違います。みんなで所得を上げようという運動にしたいし、それに政治が関わることが一番大事なことだと思います。
例えば札幌駅前の百貨店の売り上げは、1997年に約2,250億円でした。それがいまは350億円ほど下がって1,900億円になっています。あり得ないほど消費が落ちていることを考えると、やはり所得と密接に連動していると思います。
所得を上げるにはどのようなマーケティング戦略を必要とするかが重要で、ここが一番大切です。
−−ありがとうございました。
■長谷川岳(はせがわ がく) 1971年2月16日、愛知県春日井市生まれ。北海道大学経済学部経営学科卒。学生の仲間5人で91年12月にYOSAKOIソーラン祭り実行委員会を発足させ、翌年6月、第1回を開催。昨年結婚、夫人、長女の3人で札幌市南区定山渓に在住。
関連サイト
前編
http://www.bnn-s.com/news/08/05/080530183015.html
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