4月14日(水) >>
アレックス、史上初の日米サイクル達成

11回表無死一塁、中前打を放ちサイクル安打達成、ガッツポーズのアレックス=東京ドームで(星野大輔撮影)

 『史上最強打線』が、快記録をアシストしてくれた。延長11回、アレックス・オチョア外野手(32)の打球がセンター前で跳ねた。プロ野球史上60人目(64度目)のサイクルヒッターが誕生した瞬間だ。

 「チームの勝利がかかった場面だったから、自分の記録のことより、ボールを強くたたこうと思っていたんだ。その結果として、ヒットになり記録を達成できたのはハッピーだったけどね」

 2回に右翼席に運んだ3号ソロが、快挙への始まりだった。3回には左翼フェンス直撃の大飛球。クッションをもたつく幸運が、三塁まで走りきる時間を与えてくれた。4回には中堅右を破る二塁打で早くもリーチ。だが、6、8回は四球に泣かされた。シングルが届かないのか…。女神が微笑した。8回、巨人打線が火を噴いたおかげで、延長戦がプレゼントされたのだ。そのチャンスをつかみ取った。

 本塁打、三塁打、二塁打、単打の順で打ったのが史上初なら、日米の球史に名を残したのも史上初。実はメッツ時代の96年、フィリーズ戦でメジャーデビューから22試合目という『史上3番目』のスピードでサイクル安打をやっている。強運の星が、A砲の頭上で輝いている。ただ、勝運にだけは見放された夜だった…。

 「2つの国でできるってことは、誰にでも可能なことじゃない。それは誇りに思っているけど、チームが負けたことには落ち込んでいる。ボクたちはチームの勝利のためにプレーしているんだから」

 ハードな黒星。はしゃげなかったのが、最大の心残りだった。(渋谷真)



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