28日に開設されたオーマイニュース日本版の記者会見に応じる呉代表(右)と鳥越編集長(撮影:吉川忠行)

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市民が記者として投稿するインターネット新聞「オーマイニュース」(OMN)の日本版サイトが28日午前、開設された。ソフトバンクが約7億円(30%)出資して韓国のOMN社と合弁でつくった日本法人「OMN・インターナショナル」(東京都港区、呉連鎬・代表取締役)が編集部を担い、市民が実名で書いた記事を300〜2000円で購入して、サイト上に掲載する。

 7月下旬から開始したサイト上での記者登録には、本サイトを開設した午前10時時点で975人が集まり、同日昼までに1145人に達した。同社では、年末に5000人、2年以内に本場・韓国に匹敵する4万人まで増やす方針。ソフトバンクの孫正義社長も登録し、「Web2.0時代が呼んだ新メディア」という見出しの記事で「限りない可能性を秘めていると信じている。新聞、ラジオ、テレビ、雑誌に継ぐ新たなメディアとして」とのコメントを寄せた。

 開設当初は自社サイトでのネット広告を収入の核とするが、ソフトバンク子会社のヤフーが運営する「Yahoo! Japan」をはじめ他のメディアへの記事配信も視野に入れる。編集権はソフトバンクなどから独立する方針を強くうたっており、記者クラブへの加盟申請は当面行わない考えだ。

 同日、東京都港区の同本社で開いた記者会見で、呉代表取締役は「『Web2.0』と語られる時代になってもジャーナリズムの基本は大事。そういった意味で鳥越さんに編集をお願いした」と、ジャーナリストの鳥越俊太郎さんに「三顧の礼」を尽くして編集長として迎え入れた背景を説明。鳥越さんは「実名で姿を現して、ちゃんと言うべきことを言うという文化を日本にも定着させたい」と抱負を語った。

 OMNは2000年に韓国で創刊。市民参加型ジャーナリズムの先駆けとして注目を集め、2002年の韓国大統領選では盧武鉉氏を当選に導いた原動力にもなったとされている。今後は日本版、韓国版の記事をそれぞれの言語に翻訳して相互に掲載することで、日韓の文化交流なども図っていく。【了】