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お宝発見

キリシタン魔鏡 西南学院大

2007年10月12日

 表はつるつる、裏には松・竹、鶴・亀が描かれている。一見するとどこにでもありそうな直径21.2センチ、厚さ4ミリの銅鏡だ。しかし、一定の角度から光を照らすと、反射した光があたった壁には、十字架にかけられたキリスト像とそれを見つめる聖母マリアの姿が浮かび上がる。隠れキリシタンが江戸時代にひそかに拝んでいたと伝えられる「キリシタン魔鏡」だ。

写真

魔鏡(下)の反射光で映し出されたキリストの像=長沢幹城撮影

 実は、表面には肉眼では分からないミクロン単位の凹凸があり、裏面の図柄の刻みとあいまって、聖像を映し出すからくりになっている。

 所蔵している西南学院大学博物館(福岡市早良区)の学芸員、米倉立子さんによると、同様の銅鏡は約2000年前の中国でつくられはじめ、日本でも仏像や経典を映す魔鏡は各地で見つかっているという。しかし、キリシタン魔鏡は、弾圧の歴史の中で秘蔵されていたため極めて数が少ない。

 同博物館のこの魔鏡は、戦後に京都の牧師から寄贈されたものらしいが、詳しい経緯は分からない。米倉さんは「ロマンチックなイメージがあるだけに、謎めいたままの方がいいかもしれないですね」。

 <メモ> 西南学院大学博物館で常設展示されている。同博物館では国内外の聖書の写本などキリスト教の資料を展示しているほか、29日からはユダヤ教に関する美術工芸品を集めた特別展を開催する。開館時間は午前10時〜午後6時(日曜休館)。入館無料。

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