アフレコ現場から

2009/10/11放送 「007/カジノ・ロワイヤル」
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アフレコの現場リポート

ダニエル・クレイグ演じる、6代目ジェームズ・ボンドのデビュー作『007/カジノ・ロワイヤル』が、ついに10月11日(日)の『日曜洋画劇場』で地上波初放送!
この新生ボンドは世界中で大反響をよびましたが、今回は『日曜洋画劇場』でも“日本語版・新007”の声優を大抜擢!!
今回、指令を受けた担当ライター“K”は、9月某日、都内スタジオで行われたアフレコ現場に極秘潜入(なぜか気分はスパイ)。“新ボンド誕生の瞬間”をリポートします!


●リポートその1 <骨太キャスティングの歴史&新ボンド役は藤 真秀さん!>

昨年10月に放送40周年を迎えた、『日曜洋画劇場』。その40年で培ってきた吹き替え技術の素晴らしさには定評があり、テレビ朝日収録版が、時を経て、そのまま他局でオンエアされることもあるほど。話題作りのために人気タレントを起用するのではなく、一貫して“骨太”のキャスティングにこだわってきたからこその実績です。


そこで、この『カジノ・ロワイヤル』でも、『日曜洋画劇場』ならではのキャスティングに注力!
通常はディレクターがイメージをもとに声優さんにオファーを出すのですが、今回はボンド役を選ぶに当たって、特別にオーディションを開催。大御所から新人まで数名の候補に集まってもらい、実際に声を聞かせてもらいました。
そして見事、大役を射止めたのが、藤真秀(ふじ・しんしゅう)さん。俳優として舞台やドラマなどでも活動していらっしゃいますが、声優としてのキャリアはまだ浅く、まさに“大抜擢”です。
そのほかのキャスティングも、スタッフが8時間にも及ぶ会議を経て、選び抜いたそうです。


●リポートその2 <異例のリハーサルから、いよいよ本番へ!>

そんな藤さんを主役に迎え、今回は、本番前日に“異例”ともいえる“単独リハーサル”を行いました。
普通は、本番の約1週間前に台本とVTRを渡して役作りをお願いしておくだけですが、今回は藤さんにとって、いきなりの大役。彼が自信を持って本番に臨めるよう、スタッフと共にがっちりとボンド役を作りこむ共同作業の場を設けたそうです。


そして、ついに本番当日…。出番が遅く午後から参加する声優さんをのぞいて、午前10時に、藤さんをはじめ23名のキャストが集合。
まずは、ロール1(※ロール=パート分けのこと)のリハーサルがスタート。映像がモニターに流れはじめるとすぐ、藤さんの第一声がスタジオに響きました。
その瞬間、甘さと渋さが同居した美声に、背筋ゾクゾク! その上、藤さん自身も超イケメン。ライター“K”は、収録ブースが見渡せるミキシングルームに潜んでいましたが、日焼けした精悍なお顔立ち&長身でスタイル抜群の藤さんに、思わず任務を忘れ、目が釘付けに。
今回の『カジノ・ロワイヤル』は、シリーズ第21作目にして、007に昇格したばかりのボンドの初ミッションを描いたストーリー。前日の単独リハーサルの成果か、藤さんはすでに新ボンドに“昇格”していたようでした。


●リポートその3 <進化していくボンドにノックアウト!>

ボンドが追う“死の商人”ル・シッフル役は、テレビ朝日の人気アニメ『クレヨンしんちゃん』のお父さん・ひろし役でおなじみの藤原啓治さん。コミカルな役から渋い2枚目まで幅広く演じていらっしゃいますが、悪役も素晴らしい! ちょっぴり尖った声で、残忍さを表現しています。
ボンドの上司”M”役のベテラン・沢田敏子さんは、とってもお茶目。出番なのにうっかりヘッドフォンを装着し忘れていたりして、現場の緊張を和ませてくださいます。でも、ひとたび演技に入ると、圧巻の一言。演じるジュディ・デンチ(『恋に落ちたシェークスピア』でアカデミー助演女優賞)と同様、作品をキリリと引き締めます。


今回、演出を担当するのは、『日曜洋画劇場』での登板も多い、鍛治谷功氏。「もう少し聞いてみたいから」との鍛治谷ディレクターの判断で、今回はロール2も続けてリハーサル。その後、氏から、本番に向けての指示出しがありました。
ル・シッフルには「もう少し神経質な印象を出したいので、声を高めに」、“M”には「もっとボンドに厳しく」などなど。でも、なぜか藤さんへの注文はあまりありません。ほかのキャストへの指示とはいえ、藤さんも真剣な顔で聞いています。


いよいよロール1と2の本番へ。鍛治谷ディレクターの的確な指示により、リハーサルよりもブラッシュアップされていくのがわかります。
その相乗効果なのか、藤さん演じるボンドもさらにかっこよく進化! リハーサルの段階で「素敵〜!」とうなっていたライター“K”、どんどんセクシーでキケンな男に成長を遂げていくボンドにメロメロです。
そして何より、鍛治谷ディレクターは、まるでボンドをさりげなく成長に導く“M”のようだと、その手腕に感服したのでした。


●リポートその4 <オシャレなセリフに苦労!? 007の決めゼリフに注目>

その後、ロール3のリハーサル、本番が終わり、ロール4で満を持して登場したのが、ボンドガール、フランス人女優エヴァ・グリーン演じるヴェスパー。
このヴェスパーは、セクシーさがウリの従来のボンドガールとは違って、知性に溢れた、ボンドの“運命の女性”。吹き替えは、冬馬由美さんが担当。藤さんと冬馬さんは初対面とは思えないほど、息の合ったオシャレなやり取りを繰り広げていました。


そう、この『カジノ・ロワイヤル』は、『007』シリーズの中でもスタイリッシュでスマートさが際立った作品。登場人物たちのセリフもシャレていて、スタッフはひとつひとつの言い回しにこだわったそう。
オシャレ度を上げているセリフの中に、シャンパンの銘柄やボンド御用達ファッションブランドなどの固有名詞が織り込まれているものがあります。
そんなシャンパンをオーダーするときのボンドのセリフに悪戦苦闘し、それを悔しがる藤さんの様子がとてもさわやかで、スタジオの雰囲気は終始、和やかでした!
ロール4のリハーサルが終わった時点で、すでに午後2時すぎ。ようやく昼食タイムです。1時間の休憩をはさみ、後半の収録がスタート。今回は45分間の枠拡大のため、アフレコは夜遅くまでかかるハードワークとなりました。


初の大役に挑み、アクション、ラブシーン、拷問シーンなど難しい場面も果敢にこなした藤さん。最後に忘れてはならないのが、『007』シリーズでおなじみのボンドのあの決めゼリフ。この作品では意外なところで(?)登場、ボンドが真のエージェントとなったことを印象づけています。藤さんはどんなふうに“決め”てくれたのでしょう…!? 新ボンドの“初仕事”を最後までお見逃し&お聞き逃がしなく!!