岡田克也代表は5日午後、党本部で定例記者会見を開き、(1)日中韓首脳会談の開催(2)選択的夫婦別姓の導入や再婚禁止期間の短縮――等に関して見解を述べるとともに、記者団の質問に答えた。

 日中韓首脳会談について岡田代表は、「3年半ぶり、安倍政権になって初めての首脳会談が開催された。安倍総理は日中韓の首脳会談の開催を非常に評価できる、開催そのものを大変なことを実現できたと述べているが、非常におかしな話だと思う」と指摘。「なぜ3年半の間、会談の開催ができなかったのかについて、中国側韓国側にも問題があるが、当然日本側にも問題がなかったのか。総理の側にも問題がなかったのかということをよく顧みてもらいたい。3年間首脳会談がなかったことがどれだけ国益を損なったかということはよく考えてもらいたい」などと述べた。

 民法で定めた「夫婦別姓を認めない」「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」とする2つの規定の違憲性が争われている訴訟の上告審弁論が4日に最高裁大法廷で開かれ、各訴訟の原告側が「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべき」「再婚禁止期間は女性に対する性差別」とどちらの規定も違憲だと主張して結審、早ければ年内にも判決が出る見込であることについて岡田代表は、「わが党としてはすでに選択的夫婦別姓の導入や再婚禁止期間の短縮について議員立法を提出している。判決の内容もわれわれの考え方と同じような結果になることを期待する。いずれにしても次の通常国会でこれらの問題が大きなテーマとして取り上げられ、前向きな立法ができることを期待したい」と語り、政府・与党に対して積極的な対応を求めた。

 別姓を選択できる意義について記者から問われ、「わが国では結婚すれば一つの姓になるという慣例・慣行があり、法律上もそのことを認めてきたわけだが、原点に立ち返ればそのこと自体が片寄った一方的な見方であると気がつく。生まれた時から一つの姓で生きてきて、結婚すれば姓を変えなければならないというのは一方的な考え方で、自由な選択肢があってしかるべき」との見解を述べた。

 非正規労働者の割合が昨年10月時点で初めて4割に達したことを厚生労働省が4日発表したことに関連し、アベノミクスとの相関をどう見るか等を問われ、「非正規労働が増えているのは非常に問題がある。多様な働き方というのは一方にはあるが、正規を望んでいながら非正規を選ばざるを得ないというのが現実だ」「アベノミクスの3年間で、安倍総理は100万人以上雇用が増えたと言うが、正規は確実に減っている。非正規がそれをはるかに超えて増えることで100万人になったということ。しかも非正規が増えているのを年代別に見ると25歳から44歳ぐらいまでの、これから結婚して家庭を持ち子どもを生み育てるという世代の正規労働が相当の勢いで減っている。これは相当深刻な事態だ」と述べ、来週予定されている衆院予算委員会等、国会でこの問題を議論していく考えを示した。

 国連総会の軍縮問題を話し合う委員会で、日本が主導した核兵器廃絶決議案が採択され、核保有国の米国、英国、フランスなどが棄権したことに関する受け止めを記者から問われた。岡田代表は、「非常に残念なことだ。当然、保有国とも調整してきたはずだから、その調整が実らなかったという意味では外交の失敗でもある」とする見方を示した。「核軍縮・不拡散について何をしているかと問われると安倍総理はいつも決議をいの一番に挙げるが、決議を提案しているからわが国が核軍縮や不拡散に大きな役割を果たしてきたということでは決してないと思っている。もっと直接、核保有国あるいは核を持とうとしている国に対するしっかりとした外交を日本外交のなかで位置づけるべきだ」などと述べた。