タリバン、国連総会で演説の機会求める 「前政権の大使はアフガンを代表していない」と
アフガニスタンの実権を握った武装勢力タリバンが、20日付で国連のアントニオ・グテーレス事務総長に書簡を送り、21日に米ニューヨークで始まった国連総会で演説する機会を求めていたことが明らかになった。
グテーレス事務総長宛ての書簡は、タリバン暫定政権のマウルヴィ・アミール・カーン・ムタキ外相が送ったもの。
タリバンはまた、カタール・ドーハを拠点に活動する同組織のスハイル・シャヒーン報道担当をアフガニスタン国連大使に任命するとした。
先月にアフガニスタンを掌握したタリバンは、追放されたアシュラフ・ガニ政権の国連大使はもはやアフガンを代表していないと主張としている。
現国連大使が任務継続
国連報道官によると、アメリカ、中国、ロシアなど代表9人で構成する国連の信任状委員会が、タリバンによる国連総会への参加要請を検討している。
ただ、27日の総会最終日までに委員会が開かれる可能性は低い。そのため、国連規定により、ガニ政権に指名されたグラム・イサクザイ国連大使がアフガニスタンを代表し続けることとなる。イサクザイ氏は27日に演説する予定。
しかしタリバンは、イサクザイ大使を筆頭にしたアフガニスタン代表部は「もはやアフガニスタンを代表しない」と主張している。
また、一部の国はすでに、ガニ前大統領をアフガニスタン指導者として認めていないともした。
ガニ氏は8月15日にタリバンが首都カブールに進攻した際、突如としてアフガニスタンを離れた。同氏はアラブ首長国連邦(UAE)に避難している。
タリバンがアフガニスタンを統治した1996~2001年当時は、信任状委員会が後任をめぐる決定を見送り、タリバンが倒した前政権の国連大使がそのままのポストにとどまった。
「仲介役」カタールが対話呼びかけ
カタールは21日の国連総会で、世界の指導者たちにタリバンと関わり続けるよう求めた。
「彼らを拒否すれば分極化と反発を招くだけだが、対話は実りある結果をもたらすだろう」と、カタールのシェイク・タミーム・ビン・ハマド・アール・サーニ首長は述べた。
カタールはアフガニスタンと諸外国をつなぐ、重要な仲介役となっている。タリバンとアメリカの交渉を取り持ち、米軍撤退などを盛り込んだ2020年の合意につながった。
また、アフガニスタンがタリバンに掌握されると、アフガニスタン人や外国人の国外退避を支援し、最近のアフガニスタン国内の和平交渉を促進するなどしてきた。